お子様が頭をぶつけたら?子供の頭部外傷に関するお話
Sunnyキッズクリニック院長の若林です。
少しずつ暖かくなってきて外で元気に遊ぶ頻度も増えてきましたね。
本日は子供の頭部外傷に関するお話しです。
どういった時に検査が必要なのか?
どういった症状が出た時に危険なのか?
など、この記事を読むことで、お子様が万が一頭をぶつけた場合の対応をしっかり理解することができます。
以下今回の記事のまとめになります。
こどもの頭部外傷の特徴
お子さんは成人と比較し、頭部が相対的に大きいため、重心が高く転倒しやすいです。また、状況判断能力、危険を察知する能力に乏しいので、頭部の打撲をしやすいと考えられます。
特に気をつけなくてはならないのは首の座る前の乳児です。(生後4か月程度まで)このころは、頭が体と比べて大きく、頭を打った時の手足の防御反応も十分ではありません。成長が著しい時期であるため、脳の発達と頭蓋骨の発達がアンバランスとなって、頭蓋骨と脳との間に隙間ができて、頭蓋内出血を起こしやすくなります。
大人にとって低いと感じるところでも、子供にとっては2階くらいの高さのことがあるので、おおよそ1m以上の高さから落ちた場合には医療機関の受診を検討してください。
どこに注意してみればいいの?
では頭部外傷後のお子さんの状態に関してどのように注意して経過を見るべきか、説明します。以下の状態がある場合は医療機関を受診した方がいいと考えます。
外傷直後は症状がなくても遅れて症状が出ることがあるので、外傷後24時間程度は、症状が出てこないか慎重に観察する必要があります。
CT検査などはいつ必要なの?
お子さんが頭をぶつけた後、パパやママはもちろん打撲による傷も心配ですが、さらに頭の中に何か起こってしまったのではないかと心配されます。
『見た目では、元気なように見えるけど、頭をぶつけた時の音はすごい音がしたし大丈夫かな?』
『大きなたんこぶができているけど、頭の中が心配だ。』
など心配になることが多いですよね。頭の中に出血があるかどうかを確認するには、CTという検査をする必要があります。ドーナツ型の輪の中に入る検査で、特に痛いなどの苦痛を伴う検査ではないのですが、放射線を浴びます。
特に、小さな子どもでは放射線の被曝の影響は大人よりも大きく、撮影する際はしっかりとリスクを考え選択してあげる必要があります。とある研究では、2-3回の頭部CTにより脳腫瘍のリスクが約3倍になり、5-10回の頭部CTにより白血病のリスクが3倍になるといった報告もあり、余計な被曝は有害であることが知られています。
もちろん被曝のリスクよりCT検査で得られるメリットが大きければ、私たちは迷わず頭部CT検査を実施します。
しかし、さすがに頭をぶつけた子供全員に頭部CTを行う必要はありません。
お子さんの症状から頭部打撲の危険度(リスク)を推測し、頭部CTをはじめとする精密検査の必要性や治療方針を検討します。お子さんの頭部打撲に関しても、何か治療が必要になりそうな頭部外傷があるかのリスクを層別化するスコアがあり、PECARN(pediatric emergency care applied research network)と言うスコアリングを用いることもあります。
2歳以上、2歳未満に分けて、色々な症状が全てない場合は、CTでの画像精査を行う必要がある頭部外傷の確率は低いと判断されます。全てを、羅列すると専門的にすぎるため割愛しますが、一般の方でもわかりやすい症状について、挙げさせていただきます。
などが挙げられます。
万が一、皆さんのご家庭でお子さんが頭をぶつけてしまった際にはこれらの2つの列記した項目を参考に
・気をつけて子供の様子を見守るか
・早めに病院に連れて行くべきか
を判断する一助にしていただければと思います。
もちろん、一般の方での判断は困難であり、またお子さん1人1人でバックグラウンドが違うので、もしご不安があるようであれば、いつでもクリニックへご相談いただければと思います。
ではまた!