Sunnyコラム

小児科コラム

小児の新型コロナ急増中!お子さんを守るために感染対策の徹底を!!

皆さんご存知の通り、現在新型コロナウイルスの第7波が押し寄せ、過去の流行状況を凌ぐ勢いで猛威を奮っております。そんな中ワクチン接種率の低い11歳以下の子供たちの感染が急増しております。

 

●5〜11歳の新型コロナワクチン接種率

2022年2月から5〜11歳向けの新型コロナワクチンが日本でも開始されましたが、7月時点で5〜11歳の接種率は約16%程度と、他の年代と比較しかなり低い水準となっております(12〜19歳:約75%、20歳以上:約80-90%)。この接種率の低さには情報が不足していること(有効性、副反応など)、周囲の様子をみたいなど様々な原因があるのではと思います。

 

●『小児は重症化しない』は間違い!!!

以前から言われている通り、小児は新型コロナウイルスに感染しても重症化リスクは低いとされます。しかしそれは『小児は重症化しない』とは大きく異なります。重症化リスクは低いものの感染者数が増えれば増えるほど、重症化例や死亡例は残念ながら出てきてしまいます。実際に4月下旬に新型コロナによる急性脳症で10歳未満のお子さんの死亡例が報告されました。基礎疾患はなく、また新型コロナワクチンは未接種だったそうです。その他にも5月に5歳未満のお子さんが新型コロナによる急性脳症となり、麻痺を残したとの報告もありました(5歳未満のためワクチン接種はなし)。上記の通り『小児は重症化しない』は大きな間違いです

 

●5〜11歳の新型コロナワクチンの有効性と副反応

オミクロン株に対する5〜11歳の新型コロナワクチンの有効性についてです。25万人以上の小児を対象にした研究では、ファイザー製ワクチン2回接種によりPCRで確認された感染予防効果が65.3%、入院予防効果が82.7%でありました。感染予防効果はやはり経時的に減少していくものの、入院予防効果は接種30-59日たっても80%と高い値を維持しおりました。

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2203209

また新型コロナウイルスの重症合併症である多系統炎症性症候群(MIS-C)や後遺症を予防する効果も確認されております。

 

副反応については接種量が12歳以上の1/3量であることから、発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛といった副反応は軒並み低い頻度となっております。発熱は接種後約6%に認めますが、通常数日以内に改善しますので解熱剤を使用しなが経過をみていただけたらと思います。

またワクチン接種後の心筋炎の頻度についてですが、やはり接種量が少ないことからか、2回接種後では男子2.7例/100万回(自然発生率とほとんど同程度)、女児0.8例/100万回とかなり低い値となっております。20代前後の男性において稀に起こるワクチン接種後の心筋炎と比較してもかなり低い頻度となっております。

 

●まとめ

・小児における新型コロナウイルスの感染が急激に拡大しております。

・『小児は重症化しない』は大きな間違いです。

・5〜11歳の新型コロナワクチンは高い入院予防効果、また大人に比較し副反応の頻度が少ないことが確認されております。

 

ぜひお子さんを守る上で、ワクチン接種ができる年代のお子さんをお持ちの親御さんはお子さんのワクチン接種をご検討いただけたらと思います。現在のところ5〜11歳の新型コロナワクチンが公費(無料)で接種できる期間は今年の9/30までとなっております(おそらく延長されると思いますが…)。お早めに医療機関にご相談いただけたらと思います。

 

また親御さんにおきましても家庭内に感染を持ち込まないために、ワクチンの追加接種(3回目)をすること、マスク・手洗い・3密を避けるなどの感染対策が、お子さんを守るためにとても重要になります。

 

まだまだコロナ禍は続くかと思います。きっと多くの方が不安やストレスを感じていることでしょう。皆さんで今できること続け、この苦難を乗り越えていきましょう。