Sunnyコラム

小児科コラム

新型コロナウイルス感染後の小児死亡例に関する追加調査が発表されました!!

オミクロン株大流行により子供たちの間で感染者が激増、それに伴い重症化しづらいとされてきた子供たちの重症化例・死亡例の報告が増えてしまいました。それに伴い実施された『新型コロナによる小児死亡例』についての疫学調査を以前ご紹介させていただきました。

新型コロナによる小児死亡例の半数が『基礎疾患なし』!約90%が『ワクチン未接種』!

今回その第二報が発表されたのでご紹介させていただきます。

第二報は2022年1月1日〜9月30日(前回は8月30日まで)までの小児死亡例についてまとめられたものです。

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001032301.pdf

●新型コロナウイルス感染後の小児死亡例は60人以上!

2022年1月1日〜9月30日に報告された20歳未満の新型コロナウイルス感染後の小児死亡例は62人(第一報は41人)、それらを対象に積極的疫学調査が実施されました。

詳細不明例、外傷などの外因性死亡を除いた内因性死亡例は50例であり、年齢別による内訳は以下の通りでありました。

 

●半数以上が基礎疾患なし!75%が発症1週間以内に死亡!

死亡症例のうち、基礎疾患なしは29例(58%)、基礎疾患ありは21例(42%)でありました。死亡症例のうち半数以上が基礎疾患のないお子さんでした。

発症から死亡までの日数について情報が得られた48例において、75%は発症から1週間以内に死亡に至っておりました。

また発症から死亡までの中央値は3日でした。

新型コロナウイルス関連小児重症・中等症例発症状況速報の入院理由では、けいれん・肺炎・急性脳症の順に多く、呼吸器系以外の診断が70%を占めておりました。小児においては、けいれん・意識障害などの神経症状や、嘔吐・経口摂取不良などの呼吸器症状以外の全身症状の出現に注意を払う必要があると言えます。

https://www.jsicm.org/news/upload/221201JSICM_jscts.pdf

●死亡例の約90%がワクチン未接種!

当時の新型コロナワクチン接種対象者である5歳以上の死亡は26例でした。そのうちワクチン未接種は23例(88%)でありました。2回接種者を受けた3例(12%)は全例12歳以上であり、発症日は最終接種日から3か月以上経過しておりました。

 

●まとめ

新型コロナウイルスは基礎疾患のあるお子さんだけでなく、基礎疾患のない健康なお子さんにおいても、急激な経過を辿り死に至る可能性がある感染症です。症状の増悪は非常に速く、特に発症1週間以内の症状の経過に十分に注意する必要があると考えます。加えて小児死亡例の約90%がワクチン未接種であることからも、重症化予防という観点から接種可能年齢のお子さんのワクチン接種が重要と考えます。