新型コロナによる小児死亡例の半数が『基礎疾患なし』!約90%が『ワクチン未接種』!
オミクロン株大流行により子供たちの間で感染者が激増、それに伴い重症化しづらいとされてきた子供たちの重症化例・死亡例の報告が残念ながら増えてしまいました。上記の経過を踏まえ、厚生労働省と国立感染症研究所が関係学会と共同し実施された『新型コロナによる小児死亡例』についての調査報告が公開されましたのでご紹介いたします。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/2019-ncov/2559-cfeir/11480-20-2022-8-31.html
●新型コロナウイルス感染後の小児死亡例は40人以上!
2022年1月1日〜8月31日に報告された20歳未満の新型コロナウイルス感染後の小児死亡例は41人、それらを対象に積極的疫学調査が実施されました。発症日不明例、外傷などを除いた明らかな内因性死亡例は29例であり、年齢別による内訳は以下の通りでありました。
●半数が基礎疾患なし!73%が発症1週間以内に死亡!
死亡のうち基礎疾患を有していたのが14例、基礎疾患がなかったのは15例でありました。死亡に至るまでの経緯は以下の通りです。循環器系の異常(ex. 心筋炎)と中枢神経系の異常(ex. 急性脳症)が多く、特に呼吸器系の異常(ex. 肺炎)は基礎疾患がない場合は認めませんでした。
発症から死亡までの日数について情報が得られた26例において、73%は発症から1週間以内に死亡に至っておりました。また発症から死亡までの中央値は4.5日でありました。
●死亡例の約90%がワクチン未接種!
新型コロナワクチン接種対象者である5歳以上の死亡は15例でしたが、そのうちワクチン未接種は13例(87%)でありました。2回接種者は2例で、発症は最終接種日から3か月以上経過しておりました。
- まとめ
新型コロナは基礎疾患のある子供だけでなく、基礎疾患のない健康な子供たちにおいても心筋炎や急性脳症などで急激な経過を辿り死に至る感染症と言えます。基礎疾患のない子供たちにおいても十分注意が必要な感染症であり、特に発症1週間以内の症状の経過を慎重に見守る必要があると考えます。加えて小児死亡例の約90%がワクチン未接種であることからも、感染予防・重症化予防という観点から接種可能年齢の子供たちへのワクチン接種を強くお勧めいたします。