Sunnyコラム

小児科コラム

【悲願】ついにこの日が・・・。RSウイルスワクチンが国内承認!!!

現在インフルエンザA・B、新型コロナウイルス、溶連菌、ウイルス性胃腸炎など様々な感染症が流行しており、お子さんを持つご家庭は大変な思いをされていることかと思います。

そんな中『 RSウイルスワクチンが国内承認!!!』というビッグニュースが入ってきました。RSウイルスは以前も小児科コラムでお話しましたが、とても厄介なウイルスです。低月齢の乳児に感染すると重症化しやすく、細気管支炎や肺炎を引き起こし入院管理、また場合によっては気管挿管が必要になることがあります。

これまでRSウイルスに対するワクチンや特効薬が存在しなかったため、多くの小児医療従事者はRSウイルスで重症化する乳幼児を前にし、無力感を感じていたことかと思います。そんなRSウイルスワクチンが1/18に遂に国内承認されましたので今回ご紹介したいと思います。

●RSウイルスとは

RSウイルスは呼吸器感染症の1つで、2歳までにほぼ100%のお子さんが感染するとされております。日本では年間に12〜14万人の2歳未満の乳幼児がRSウイルスと診断され、そのうち約4分の1(約3万人)が入院を要する推定されております。

特に生後6か月未満のお子さんがRSウイルスに感染すると重症化しやすく、細気管支炎や肺炎をきたし入院管理が必要になることが多いとされます(生後1〜2か月が入院のピーク)低月齢のお子さんにとっては非常に厄介な感染症であり、生後早期からの予防策が求められてきました。

 

●母子免疫を利用したワクチン

今回承認されたワクチン(アブリスボ:ファイザー社製)は母子免疫ワクチンになります。妊娠24〜36週の妊婦を対象にワクチンを1回接種し、母体内でできたRSウイルスに対する中和抗体が胎児に移行することで、新生児および乳児のおけるRSウイルスによる下気道疾患の発症・重症化を防ぐ効果期待されております。

対象:妊娠24〜36週の妊婦        回数:1回接種

投与量・投与方法:0.5ml・筋肉注射     販売開始:2024年6月

https://news.yahoo.co.jp/articles/8ccf30b7d6ab98a266183fbd6d880b59eeef06d7

●有効性は?安全性は?

7000例を超える妊婦を対象に二重盲検試験が行われました。出生後の児においてRSウイルスによる下気道疾患が生後3か月で81.8%、生後6か月で69.4%の重症化予防効果が確認されました。(発症予防効果は生後3か月で57.1%、生後6か月で51.3%認めたが、統計学的達成基準は満たしませんでした。)

安全性に関しては、ワクチン群、プラセボ群の両群間に報告された有害事象の発現率は同程度であり、安全性の懸念は認めませんでした

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2216480

https://www.nejm.jp/abstract/vol388.p1451

●まとめ

RSウイルスは低月齢のお子さんに感染すると重症化しやすく、出生早期からの予防策が求められてきました。そんなRSウイルスに対するワクチンが日本でも遂に承認されました。重症化しやすいとされる低月齢のお子さんにおける重症予防効果がとても高く、これにより多くのお子さんを厄介なRSウイルスから守ることができると考えます。

2024年6月から接種が開始されます。今後多くの方にRSウイルスワクチンとその必要性を知ってもらうこと、また小児科と産婦人科の連携が重要になってくると考えます。