Sunnyコラム

小児科コラム

日常に潜む危険、『食品による窒息』から子供を守るためにできこと 応用編

前回『食品による窒息』に至る原因として「子ども側の要因」「食品側の要因」があること、そしてそれらの要因に対して対策をたてることが重要であることをお話させていただきました。

しかし残念ながら食品による窒息死を0にすることはできません。小児科学会や厚生労働省はたびたび『食品による窒息』について注意喚起を出しております。中でも「ブドウはリスクが高い食品である」「ブドウは乳幼児(4歳以下)は1/4以下の大きさに」と注意喚起し続けておりますが、痛ましい事例がなくならないのが現状です。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/injuryalert/0049.pdf

そのため『食品による窒息』を防ぐための予防法だけでなく、もし目の前で窒息が起きたときの対応を学ばなくてはなりません。

●窒息のサインに気づこう!

窒息すると短時間で命に関わる事態に進行します。まずは窒息のサインにいち早く気付くことが重要です。子どもが窒息すると下記のような症状が現れます。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html

ゼーゼーと音があるうちは完全に閉塞はしていませんが、完全閉塞すると音がなくなり、突然顔色や意識が悪くなります。またよだれを垂らして声が出せなくなるのも完全閉塞のサインです。窒息は親が子供から目を離している時でも、隣で子供をみている時でもいつでも起きえます。上記症状がある場合は、窒息をきたしている可能性があるため必ず覚えておきましょう。

●窒息を疑ったら直ちに救急要請!気道異物除去!心肺蘇生!

多くの場合、窒息すると3〜4分で顔色が悪くなり5〜6分で呼吸停止・心停止します。さらに時間が経つと大脳に障害をきたし15分以上経過すると脳死状態になります。そのために近くにいる人が直ちに対応しなくてはなりません。窒息に気付いたら直ちに119番に救急要請し救急車が来るまでに、意識がある場合は詰まったものを吐き出させるために気道異物除去を、意識がない場合は心肺蘇生を行いましょう。

https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201809/2.html

①気道異物除去

まず押さえておきたいポイントとして、異物がみえていないのに手探りで異物を除去しようとする行為は危険ですかえって異物が深部に押し込んでしまう可能性があるため絶対にやめましょう

https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123

意識(反応)がある場合はまず気道異物除去を行いましょう(下記参照)。1歳未満と1歳以上の場合で対応が異なるため注意が必要です。

https://oshiete-dr.sakura.ne.jp/home/wp-content/uploads/2024/03/20231215shinpaisosei.pdf

②心肺蘇生

意識(反応)がない場合や、気道異物除去の途中で意識がなくなった場合は直ちに心肺蘇生をはじめてください。救急隊が到着するまで続けましょう。

https://oshiete-dr.sakura.ne.jp/home/wp-content/uploads/2024/03/20231215shinpaisosei.pdf

●まとめ

窒息すると数分で呼吸停止・心停止に至ることがあるため、近くにいる人は的確かつ迅速な対応が求められます。目の前で窒息のお子さんがいた際は直ちに救急要請し、意識状態を確認し気道異物除去 or 心肺蘇生法を行いましょう。

目の前のお子さんを救えるのはあなたかもしれません。緊急時はパニックになることが想定されます。日頃から緊急時の対応について確認しておきましょう。