Sunnyコラム

小児科コラム

日常に潜む危険、『食品による窒息』から子供を守るためにできること ①

先日とても痛ましいュースが飛び込んできました。給食にでたうずらの卵で小学1年生のお子さんが窒息により亡くなったという事例がありました。同様の食品による事例は過去にも度々発生しております。

何気ない日常の食事の中に危険が潜んでいること、もしそのような状況に遭遇した場合の対処法について2部構成で簡単にお話したいと思います。

https://news.yahoo.co.jp/articles/476b71c7ae36c8cefdac964df25b175d684d12c9?page=2

●窒息とは

『窒息』とは空気の通り道である気道が塞がれることを指します。肺に空気を取り込むことができなくなり、短時間で致命的な経過となることがあります。なかでも「食品」が原因の窒息は決して珍しいことではなく度々報告されます。口は空気と食品の共通の入り口であり、その後に気道と食道に分かれます。そのため食べるという行為には常に窒息の危険が伴うということを忘れてはなりません。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20231210chissoku.pdf

●窒息による死亡は5歳以下が9割!

食品による窒息は特に低年齢のお子さんに多いとされます。消費者庁の報告によると、2014〜2019年までの6年間に発生した食品による子どもの窒息死のうち、5歳以下が9割を占めております。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_047/assets/caution_047_210120_0001.pdf

●なぜ子どもに窒息が多いのか?

理由として「子ども側の要因」と「食品側の要因」が挙げられます。「子ども側の要因」と「食品側の要因」が同時に重なることで窒息のリスクが増大するため、いかにこれらを予防するかが重要になります。

◎子ども側の要因

①食べる力(=噛む・飲みこむ)

摂食能力は子どもの月齢や発達段階により異なります。離乳食初期(生後5-6か月)、離乳食中期(生後7-8か月)、離乳食後期(生後9-11か月)、離乳食完了期(生後12-18か月)でそれぞれの時期の能力に適した離乳食の固さを知り、子どもにあった食事を提供する必要があります。しかし注意点として市販の離乳食などの商品には対象月齢が表示されておりますが、その表記に明確な根拠や法的基準はありません。対象月齢はあくまで目安と考え、子どもの乳歯の生え具合や噛む力・飲みこむ力などに応じて無理のないものを選択しましょう。

https://www.kewpie.co.jp/babyfood/advice/katasa/index.html

通常3-4歳ごろに歯が生え揃い、前歯で噛み切り、奥歯ですりつぶせるようになります。ただし子どもは噛む力が大人に比べ弱く、丸飲みしてしまうこともしばしばあります。加えて咳反射(喉頭・気管に異物が入った際に咳をして誤嚥を防ぐ)が未熟なため、窒息に繋がる危険性があります。

②食べる時の行動

どの年齢になっても食べるときの行動が窒息につながることがあります。過去にもパンの早食い競争により亡くなった中学生の事例があったように、食べるときの行動にはどの年齢も十分注意が必要です。

https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123

年上の兄弟・姉妹がいる場合、子ども自身が年長児のマネをしたり、同じものを欲しがったりすることがあります。そんな時に年長児が自分と同じものをそのまま与えてしまうことがあり注意が必要です。その他にも口の中に食品が入った状態で走り回ったり、泣いたり、笑ったり、驚いたりすると、そのはずみで食品をのどに詰まらせ窒息に至る危険もあります。

普段の楽しい食事をより安全におこなうため、年齢や発達段階によって安全に食べられる食材やその形状が異なることや食事中のマナーについて日頃から家族で話し合いルールを決めておきましょう。

◎食品側の要因

日本小児科学会は窒息のしやすい食品を以下の3パターンに分類しております。

①丸くてつるっとしている食品

(ex.ぶどうミニトマトうずらの卵、ピーナッツ、あめ、蒟蒻、白玉団子 etc.)

表面がつるっとしている食品は噛みづらい上に口の中で滑りやすく、そのまま丸飲みしてしまい窒息に至る危険があります。ぶどうやミニトマトの大きさは2-3cmと丸飲みすると窒息に至るリスクが非常に高いとされます。与える際は下図のように1/4にカットしましょう(特に4歳以下)。

②粘着生が高く、唾液を吸収し飲み込みづらい食品

(ex. お餅パン、ご飯 etc.)

粘着性が高く一度に沢山詰め込んだり、よく噛まずに飲み込むと、唾液を吸収し飲み込みづらくなり、喉に張り付き窒息につながる可能性があります。特にお餅はお正月に毎年のごとく窒息事例のある代表的な食品です。対策として一口量を制限し、よく噛み、水分をとりながら食べましょう。

③固くてかみ切りにくい食品

(ex. イカ、エビ、貝類、りんご .etc)

十分に噛んで小さくならないままに飲み込んでしまうと窒息につながる可能性があります。エビや貝などは2歳になってからが推奨されております。

https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20231210chissoku.pdf

窒息につながりやすい代表的な食品に対する各対策の詳細は以下の通りです。

https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=123

●まとめ

何気なく行う食事の中に窒息の危険が潜んでおります。窒息に至る原因として「子ども側の要因」と「食品側の要因」がありますが、いずれも対策をたてて未然に予防することが重要です。普段の楽しい食事をより安全なものにすため、家族内で話し合ってみましょう。

次回は窒息に遭遇した際の対処法についてお話したいと思います。