子どもの病気コラム
「アレルギーの検査をしましょう」というけど、何をみているの? しっかり理解し、食物アレルギーに関して詳しくなろう。
Sunnyキッズクリニックの院長の若林大樹です。
「何かのアレルギーかもしれないですね。アレルギー検査しましょう。」
よくある診察の流れです。
このアレルギー検査って何をみているのでしょうか?
この記事を読むことで、アレルギー検査の意味合いや検査の原理がわかるので、
など食物アレルギーをはじめとしたアレルギー疾患に関して理解がめちゃくちゃ深まります。
本日も医療IQを高めていきましょう!
アレルギーの数値って何をみているの?
アレルギー検査って血液の中の何をみているのでしょうか?
アレルギーの反応?
って意味わからないですよね。
この検査は抗体検査です。血液の中の抗体を見ています。
抗体って今までは一般の方々は全く知らない単語でしたが、最近はコロナウイルスの流行もあって、みなさんもご存知のワードに急上昇しましたね。
抗体ってなに?
抗体って何かわかりますか?
同じものが体の中に入ってきた時に体を守るためにできる物質です。
コロナの抗体検査
→抗体がついていればすでに感染していて体を守る仕組みができている可能性がある。
予防接種
→抗体がついていれば病原体を守る働きが体の中にできている。
つまり体内を敵から守るための免疫システムの結果出来るのが抗体です。
繰り返しになりますが体を異物やウイルスから守るのが抗体です。
抗体って何をしているの?
抗体は体に害を及ぼす病原体や敵が体に入ってきた時に2度とやられないようにその形を覚えて血液の中をパトロールしています。
全身のパトロールをしているので、再度入ってきた時にウイルスなどが増殖する前にさっさと見つけて、
「敵が来た」
とみんなでおそいかかり、倒してくれます。
抗体がいる=病原体から身を守る
という意味ではとても重要なしくみです。
食物アレルギーの場合はそれぞれの食品の抗体価が上昇します。
これをアレルギー検査で見ています。
ここで皆さん
抗体って、ウイルスや敵から体を守るためにできる物質ではないの?
食品って敵じゃないじゃん?
って思いましたよね。
めちゃくちゃいい発想です。
これから食物アレルギーの起こる仕組みについて解説していきます。
重要な部分なのでしっかり読んでください。
食物アレルギーの起こる仕組みとは?
なぜ食品は敵じゃないのに抗体を作ってやつけようと思ったか?
これは食物アレルギーの謎でした。
答えは
皮膚から食べ物が入ろうとした
からです。
皮膚から入る?
訳わからないですよね。今からしっかり解説します。
食べ物の成分は人間に入る入り口がきちんと決まっていますよね。
口からです。最終的に消化されて腸から吸収されます。
その際に腸でも免疫の細胞が敵と味方を判別しています。
変なウイルスや病原体やノロウイルスやロタウイルスなど胃腸炎のウイルスは敵ですね。
これは腸の細胞が反応して、
「敵が来たー」
と洗い流すことで下痢が出るのです。
食べ物の成分は
「これは栄養だよね。味方だから」
と吸収します。
本当はこのように食べられるはずで本来味方だけど違う所から入ろうとした為に病原体、異物と認識されるのです。
ではどこから入ったのか?
皮膚ですね?
つまり本来食べ物が入る経路である消化管から入る成分が皮膚から吸収された結果、異物として認識され抗体ができたという事です。
乳児期から戦いは始まっている
ではどのようにすれば、皮膚から吸収されないようにできるのか?
答えは
スキンケア一択
です
乾燥肌、湿疹は要注意。スキンケアは本当に重要
「うちの子皮膚が乾燥していて」
とパパやママが皆さん悩まれていますが、
お子さんの皮膚は乾燥しているのが当たり前です。
つまり乳児期から皮膚のケアを行わないと乾燥するのです。
角質がしっかり張っていてキメが整っていれば皮膚に張りができ隙間がなくコーティングされているので外から異物が入れません。
しかし皮膚が乾燥すると角質の間に隙間が空き入りこめます。
干からびた地面がひび割れているようなイメージです。
皮膚の根本には免疫細胞がたくさんいる場所があります。ここで「敵が来た」という反応を起こします。
その結果おこる湿疹や痒みは
と脳に気づかせるためのサインです。
皮膚で免疫細胞が局地戦を行っている状態です。
この段階で綺麗するために治療をおこなえばいいですが、この状態が続くと
「この敵はやばい」
と抗体作る反応を起こし、どこから入ってきても対応できるように抗体を作成し血液中に抗体をパトロールさせているのです。
つまり本来腸から入ってくるべきものが皮膚から入り込み過剰な反応を起こした結果、食物アレルギーを起こす可能性があるのです。
人間に体ってすごい敏感だし繊細だしすごい仕組みを持っていますよね。
乳児期からの湿疹は要注意
このような理由から、赤ちゃんの時期、乳児期にずっと湿疹があるお子さんは注意が必要です。
論文でもすでに報告されているように治りにくい乳児湿疹があるお子さんは食物アレルギーの発症リスクが高くなります。
離乳食の始め方や初めて食べる食品に不安を覚える方も多いでしょう。その際はクリニックで遠慮せずに相談してください。
まとめ
今回、
について解説しました。
次に実際に食物アレルギーの治療をどのように行っていけばいいか解説していきます。
しっかりマスターしていきましょう。
ではまた!
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