子どもの病気コラム
これさえ読めばわかる! RSウイルス感染症について
今年は皆さんが、手洗い、うがい、マスク着用など感染の予防を徹底していたため、ほとんど風邪が流行していません。インフルエンザも全く流行せずに春を迎えそうで、こんな冬場は自分が小児科医になって初めてのことです。
インフルエンザと共に、主に冬場に流行するウイルスであるRSウイルスに関するお話です。
流行するのはきっと来年以降ですが、今のうちにしっかり一緒に勉強しておきましょう😁
チアノーゼや無呼吸発作を起こしやすい。
RSウイルスってなに?
RSウイルスは、2歳までにほぼ100%のお子さんが感染する呼吸器感染症です。
冬季に流行し2歳以上では風邪症状で済むことがほとんどですが、1歳未満特に新生児の感染では非常に重篤な呼吸器症状を引き起こすことがあるため、注意が必要なウイルスです。
「RSウイルスが保育園で流行っているので検査してください」と受診するパパやママがいらっしゃいますが、RSウイルスに感染した際にリスクが高い年齢か判断する必要があります。
2歳以上では基礎疾患(心臓、呼吸器の病気、重症な喘息)などがない場合には検査する意義はあまり高くないと考えます。
鼻に綿棒を入れるのは痛い
ですしね。
1回で免疫ができるものではないので大人になるまで何度も感染するのが特徴です。
年長児や大人に感染した場合は単なる風邪で済むことが多いです。
どんな症状が出るの?
咳や鼻水といったいわゆる風邪の症状が出ます。呼吸障害を起こしやすいウイルスなので、
喘鳴(「ひゅーひゅー」「ぜーぜー」)などの音がする時
努力呼吸(肩で頑張って呼吸している)
陥没呼吸(肋骨がぺこぺこ凹む)
などを認める場合や
活気がない時
などは、単なる風邪症状のほかに、呼吸障害が起きており、気管支炎、細気管支炎、肺炎などを起こしている可能性もあります。
この場合は医療機関を受診することを考えてください。
また3か月未満のお子さんでは無呼吸発作という呼吸を止めるような発作を起こすこともあるので、注意が必要です。
検査や診断はどうするの?
細い綿棒を鼻に入れぬぐい液を使用して15分程度で診断ができます。
基本的には年齢が小さいお子さん、呼吸障害を起こしているお子さんなどでは検査を行い意義はありますが、このようなリスクが高くないお子さんの場合には、診断を特定することが、治療方針に影響することはあまりなく、お子さんたちが、痛い思いをすることを考えると、検査の必要性は低いと考えます。
治療はどうするの?
RSウイルスに効くお薬はないので、対処療法(お子さんにある症状を取る治療)がメインになります。
風邪の原因となるウイルスの中でも、咳、鼻水などの症状が強く出るウイルスの代表なので、咳などの症状がよくなるのには数週間かかることもあります。
呼吸障害を起こしているときは、喘息の治療と同じく気管支拡張薬(内服、テープ、吸入)を投与することもあります。
発熱が3−5日程度続く場合には2次感染を起こして、肺炎や中耳炎を起こすことがあるので必ず医療機関を受診してください。
また感染後、空気の通り道の過敏さが増して長期に咳が続く体質になるお子さんもいます。この場合に行う予防の治療もあるので、その際はクリニックで相談してください。
基本的な予防は、頻回の手洗い、うがいや、マスク着用になります。
今回はRSウイルスについて解説しました。
検査を行った方がいい場合や病気の概要について理解できたのではないかと思います。
ではまた。