子どもの病気コラム
インフルエンザ感染症について
こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。
コロナ禍で例年の感染者数は出ていなかったものの、今年は3年ぶりに季節性インフルエンザが流行シーズン入りしました。
新型コロナウイルスも、季節性インフルエンザも感染力が強く、とても厄介なウイルスです。
引き続き、出来る限りの感染対策を継続していきましょう。
今回はインフルエンザウイルス感染症について勉強していきます!
インフルエンザウイルスってなに?
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分類されます。そのうちヒトに流行を起こすのはA型とB型です。
A型・B型インフルエンザの流行には季節性があり、例年12月~3月に流行し、咳・くしゃみなどの飛沫感染や汚染された物を介した接触感染により短期間で多くの人に感染が拡がります。
例年の季節性インフルエンザの感染者数は国内で推定約1,000万人とされます。
どんな症状、合併症があるの?
症状として
を認めます。
最も注意しなくてはならない合併症としてインフルエンザ脳症があります。
インフルエンザ脳症は死亡率が約30%、また25%に後遺症を残すとても重篤な合併症です。
インフルエンザ脳症の初期症状は
があります。
しかし小児では発熱時は普段よりもボーっとしたり、またインフルエンザ脳症の異常行動・言動と熱せん妄との区別は難しいことがあります。
意識状態が悪いとき、けいれんした時、異常行動・言動がある際は病院に相談・受診をしましょう。
検査や診断はどうするの?
インフルエンザウイルスの迅速検査は鼻孔より細い綿棒のようなものを挿入し、採取した分泌物を処理液に浸し検査キットに滴下することで陽性・陰性を判断する検査です。結果が出るまでおよそ10-15分程度かかります。
インフルエンザ感染直後はウイルス量が少ないため、本当はインフルエンザに感染しているにも関わらず迅速検査で陰性(偽陰性)と出てしまう可能性が高いため、発熱早期の迅速検査はオススメできません。
発熱後12-24時間程度で迅速検査で検出できるまでにウイルス量が増えるとされております。したがって発熱後24時間経過したタイミングでの迅速検査をオススメします。
最近のトピックスとして発熱早期(6時間未満)でも診断可能な高感度迅速診断キットが登場しました。今後当院でも導入を検討しております。
治療はどうするの?
幼児や持病があるなど重症化のリスクが高いお子さんは抗インフルエンザ薬の投与が推奨されますが、多くは自然に治ってしまうため、抗インフルエンザ薬の投与は必須ではありません。自然に治すには自身の免疫が重要となりますので、食事・水分摂取、睡眠で体を休めることが大切です。
現在小児に使用可能な抗インフルエンザ薬は5種類あり剤型も様々です。年齢に応じて適宜選択させていただきます。
抗インフルエンザ薬はインフルエンザウイルスをやっつける薬ではありません。体内でインフルエンザウイルスの増殖するのを抑える薬であるため発熱48時間以内(ウイルスが増えきる前)に投与することが望ましいとされます。
発熱48時間以内の投与により発熱期間を1日程度短縮する効果はありますが、入院予防効果や重症化予防効果は明らかになっていません。
予防はどうするの?
インフルエンザは飛沫感染・接触感染により感染をひろげます。手洗い、アルコール消毒、うがい、マスク着用などの咳エチケットが予防につながります。
またインフルエンザに任意接種にはなりますがワクチンが存在します。接種すればインフルエンザに絶対にかからないというものではありませんが、インフルエンザの発症予防、重症化予防に効果があるとされます。
かつては乳児への予防接種による効果ははっきりとした見解がありませんでしたが、現在は生後6ヵ月以降の乳児から接種を行うことが推奨されております。
その他
小学生以降のお子さん『発症してか5日経過し、かつ解熱して2日経過してから』
上記になります。わかりづらい部分もありますので、当院では診断の際には書面で分かりやすくご説明させていただきます。
②自分の手を噛む、食べ物と食べものでないものの区別がつかない
③アニメのキャラクターや動物が見えるなどの幻視・幻覚の訴えがある
④意味不明が言語を発する、ろれつが回らない
⑤おびえ、恐怖の訴えや表情
⑥急に怒りだす、泣きだす、大声で歌う
上記が例として挙げられます。熱せん妄であれば短時間、または一時的とされますが、判断はとても難しいため異常行動・言動と思われる症状の際は受診をオススメします。
2019-2020シーズンでのインフルエンザ脳症は134例、うち10例が死亡しております。大切なお子さんを守るうえでもお子さんだけでなく家族全員のインフルエンザワクチンの接種をオススメします。
②呼吸が早く、息苦しそう
③水分が取れず、おしっこが出ない時
上記所見を認めるときは病院に相談・受診することをオススメします。
普段からの手洗い、アルコール消毒、うがい、マスク着用などの咳エチケットで予防を心がけていただき、ぜひ大切なお子さまやご家族を守るためにインフルエンザワクチンの接種をしていただければと思います。
お困りの際はいつでもご受診ください。
ではまた!