インフルエンザが季節外れの流行！！今年の予防接種はどうしたら？？
季節性インフルエンザは例年12〜3月に流行する感染症です。しかしながら皆さんもご存知の通り、現在インフルエンザが季節外れの流行が確認されております。そのため今回は現在のインフエンザの流行状況、今年の予防接種についてお話したいと思います。
季節性インフルエンザについての基本事項は以下をご参照ください。
●今現在の日本でのインフルエンザ流行状況は？
季節性インフルエンザは定点把握疾患の1つで、特定の医療機関を定め、その医療機関を受診した患者数を基に流行状況を把握しております。現在埼玉県、東京都、千葉県など9都県において、「流行注意基準」である定点あたり10.0人を超え急速に増加しております。今後もさらに流行拡大する可能性があり注意が必要な状況です。
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/assets/flu/2023/Vol26No3.pdf
また季節性インフルエンザ流行による子どもたちへの影響も急速に拡大しております。インフルエンザにより、学年閉鎖・学級閉鎖を行った施設数も増加しております。
https://www.mhlw.go.jp/content/001151009.pdf
例年では季節性インフルエンザは冬に流行し、春には収束します。しかしながら2022年度シーズンの流行が収束しきらず、2023シーズンまで長期化、そして季節外れの流行と、異例中の異例の事態となっております。
●今年の予防接種どうしたら？
インフルエンザの季節外れの流行が確認されていること、今後も流行拡大の可能性があること、新型コロナウイルスとの重複感染や同時流行が今後も懸念されることから、日本感染症学会は今シーズンもインフルエンザワクチンの積極的な接種を強く推奨しております。
https://www.kansensho.or.jp/uploads/files/guidelines/influenza_vaccine_230925.pdf
季節外れのインフルエンザ流行により、すでに今年インフルエンザにかかった人から「インフルエンザワクチンを接種するべきですか？」という質問をいただきます。結論から言うと、すでに今年インフルエンザに感染した方も、ワクチン接種はした方がいいと考えます。
といのもインフルエンザワクチンは毎年厚生労働省がその冬の流行を予想し、４種類のウイルス株を選定し製造されます。今年はA型が２種類(H1N1、H3N2)、B型が２種類(ビクトリア系統、山形系統)の4種混合ワクチンになります。
https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/001089486.pdf
クリニックの抗原検査でインフルエンザAと診断されても、A型のうちどの種類なのかはわかりません。そのためたとえすでにインフルエンザAに罹患していても、同シーズンで違う種類のインフルエンザAに罹患することが起こり得ます。またこれから本格的なインフルエンザシーズンに突入することを考えれば、インフルエンザワクチンを接種した方がいいと考えます。
またA型に罹った後にB型に再度感染すると言ったことも起こり得ます。
●咳止め、去痰剤などあらゆる薬剤が在庫逼迫
新型コロナウイルスやインフルエンザなど、あらゆる感染症の流行により、小児でも多く使用される咳止めや去痰剤の在庫不足が現在深刻となっております。供給の目処もたっていないため、感染症にかからないための予防が重要と考えます。
https://www.mhlw.go.jp/content/001151689.pdf
●その他
ちなみにですが、夏に流行するプール熱（アデノウイルス感染症）ですが、現在過去１０年で最大規模の流行が確認されております。アデノウイルスは飛沫感染や接触感染によりひろがります。アデノウイルスはアルコール耐性があるため、予防対策として流水・石鹸による手洗いやマスク着用、おもちゃなどの消毒（次亜塩素酸ナトリウム）などが有効です。
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/diseases/pcf/pcf/
●まとめ
現在インフルエンザが季節外れの流行をしており、今後のさらに感染拡大していく可能性があります。また新型コロナウイルス、その他あらゆる感染症の流行により、小児科で用いられる多くの薬剤が枯渇してきております。感染症はかからない越したことがありません。予防可能な感染症に対するワクチン接種、その他日々の手洗い、消毒、マスク着用などの感染対策をできる限り今後も行なっていきましょう。
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