子どもの病気コラム
熱性痙攣にまつわる話
こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。
今回は熱性痙攣について勉強していきます!
落ち着いて発作の長さ、左右対称かなどの観察。
口に中には物をいれない。
熱性痙攣とは。
パパ、ママがびっくりされる症状の一つに痙攣発作があります。乳幼児で一番多いのが熱性痙攣です。高熱が出た際に、突然白目を向いたり、全身が突っ張ったり、手足をガクンガクンと震わせるやつです。熱性痙攣は通常38℃以上の発熱に伴って起き、生後6ヶ月〜5歳の乳幼児に起こるとされています。日本は諸外国に比べて発症率が少し高く、約10%前後です。発熱時の痙攣の中から、脳の感染症やてんかんなど、明らかな痙攣を引き起こす病気を除外したものと定義されています。その為短時間の痙攣発作では、脳障害や発達への影響は及ぼさないと考えられています。その為、熱性痙攣の特徴をしっかり把握することが必要です。ポイントとしては、検査が不要である「単純型熱性痙攣」と入院なども含め経過観察が必要な「複雑型熱性痙攣」にわかれます。
「単純型熱性痙攣」の特徴としては
・15分以内に痙攣発作がおさまる
・24時間以内に2回以上繰り返さない
・発作時に左右差がない
・意識の回復がスムーズ
などの特徴があります。その為、痙攣が起きた時にはまず焦らずに、痙攣の持続時間、左右差の有無、様子などを観察する必要があります。
痙攣時はどうすればいいの?
では実際に痙攣が起きた場合にはどのように対応すればいいのでしょうか?突然の症状にパパ、ママのほうがパニックになることが多いと思いますが、下記の事を思い出して対応してください。
痙攣時に舌を噛まないように口腔内に物をつめたりするパパやママもいらっしゃいますが、窒息するリスクもあるので控えてください。
①まずおちつく。
②お子さんを横向きに寝かす。(痙攣時に嘔吐をすることがあり、横向きに寝かすことで、誤嚥を予防する為)
③痙攣の持続時間、左右差の有無、様子などを観察する。
④5分以内に収まり、目線が徐々に合って意識が回復、泣いたりするようなら落ち着いたところで医療機関を受診してください。
⑤5分以上継続する場合、痙攣後も意識ははっきりしない、顔色が悪い場合、2回目の痙攣を起こす場合などは救急要請し、直ちに医療機関を受診してください。
上記の順番に考えながら、行動をしてもらえれば大丈夫です。
どれくらいの人が再発するの?
大体60-80%程度のお子さんは再発しないと考えられています。突発性発疹やインフルエンザに伴う熱性痙攣の場合、これらの感染症を引き起こすウイルスは痙攣を起こしやすいものになるので、2回目以降が起こる確率は少し低くなると考えられます。
熱性痙攣の再発率を予測する因子は下記項目です。
①パパやママのいずれかが熱性痙攣を起こしたことがある。
②1歳未満で熱性痙攣を起こした
③発熱から間もない時間での痙攣発作(1h以内)
④発作時の体温が39度以下
上記項目に当てはまれば、当てはまるほど痙攣の再発のリスクが高まります。全項目とも満たさない場合には、約15%と考えられています。
痙攣予防のダイアップはいつ使うの?
熱性痙攣を繰り返すお子さんに関しては、痙攣予防のためにダイアップを使用する事があります。しかしながら、熱性痙攣を起こした全てのお子さんが予防する必要はありません。もちろんダイアップに予防効果はあります。しかしこのお薬は、脳や神経に作用し痙攣を予防する薬なので、お酒に酔ったように、ふらふらしたり、寝てしまったりするといった副作用もあります。痙攣を止める作用はほとんどないので、ご自身の判断で、痙攣後に使用する事はやめてください。痙攣のせいで意識が悪いのか、ダイアップのせいで意識が悪いのかが判断が難しく、適切な対応ができなくなる可能性があります
どのようなお子さんに予防内服をすれば良いか以下に記載いたします。
ダイアップの予防投与が必要なお子さん
●15-20分以上の遷延する発作がある場合。
●短期間に発作が繰り返し起きる (2回/日、半年で3回以上、1年で4回以上)
以下のリスク因子中2項目以上あてはまり、2回以上痙攣が起きた場合
【リスク因子】
●熱性痙攣前から存在する神経的異常、発達遅滞。
●単純型以外の痙攣発作(左右非対称の痙攣、持続時間が15−20分以上、24時間以内に何度も繰り返す)
●両親、兄弟に熱性痙攣、てんかんの家族歴がある。
●1歳未満で熱性痙攣を起こしている
●発熱後1時間未満での発作
●38度未満での発作
ダイアップも上記に示したような副作用を引き起こす事があります。痙攣予防が必要なお子様たちを、文面で示しましたが少し難しい内容かもしれません。しかしながら、不必要な薬を使う事で起こる副作用をなくすために、予防の適応をしっかり覚えていただけると助かります。もしわからない、迷うときはお気軽にクリニックで相談してください。
必要最小限の薬だけをお子さんに適切に使用することは、子供たちの健康を守ることにつながります。
お困りの際はいつでもご受診ください。
ではまた!
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