定期接種、キャッチアップ接種で9価HPVワクチンが接種可能に!!!
HPVワクチンについて新たに進展がありましたのでご紹介したいと思います。
以前にも小児科コラムでご紹介しましたが、子宮頸がんはとても恐ろしい疾患です。そんな子宮頸がんの発症リスクを大きく低下させるHPVワクチンは、『子どもを守る、家庭を守る、社会を守る』夢のワクチンであると考えます。
https://www.sunny-clinic.jp/pediatrics/hpv-vaccine-3/
https://www.jsog.or.jp/modules/jsogpolicy/index.php?content_id=4
WHOは、子宮頸がんは根絶可能な疾患であると位置づけており、ワクチン接種率・子宮頸がん検診受診率の高いオーストラリアでは2028年に子宮頸がんが根絶すると推測されております。そんなHPVワクチン事情ですが、これまで日本は海外に比べかなり遅れをとっておりました。しかしながら2022年4月にHPVワクチンの積極的勧奨再開・キャッチアップ接種開始、そしてこの度2023年4月より定期接種・キャチアップ接種で9価HPVワクチンの接種が可能となり、日本も子宮頸がん根絶の未来に向けてさらに一歩前進したかと思います。
今回4月からの変更点について簡単にご説明できればと思います。
◎定期接種で9価HPVワクチン接種が可能に
これまでの2価HPVワクチン、4価HPVワクチンに加えて、9価HPVワクチンが接種可能になりました。HPV16、18に加え、さらに5種類のハイリスクHPV(HPV31、33、45、52、58)をカバーしているため、より高い子宮頸がんの発症予防効果(90%以上)が確認されております。
https://answers.ten-navi.com/pharmanews/20526/
定期接種の詳細は以下の通りです。
●対象:小学校6年生〜高校1年生相当の女子
●費用:無料(公費負担)
また9価HPVワクチンにおいては、9〜15歳未満の女性は2回接種が可能です。若年者は2回接種でも十分に免疫が得られることが確認されております。2回接種により受診負担や接種負担の軽減が期待でき、WHOの推奨や、他国のワクチン接種プログラムの多くは2回接種となっております。3回接種も可能ですが、なるべく多くの方に9価HPVワクチンがいき渡っていただきたいので、当院では9〜15歳未満のお子さんは2回接種をお勧め致します。下記が2回接種、3回接種の際のスケジュールになります。接種間隔が異なりますので、ご注意ください。
●2回接種(9〜15歳未満の女性)
●3回接種(15歳以上の女性)
https://www.msdconnect.jp/products/gardasil-silgard9/info/silgard9-usage/
◎キャッチアップ接種で9価HPVワクチン接種が可能に
2022年4月から始まったキャッチアップ接種に関しても、9価HPVワクチンが接種可能になりました。積極的勧奨中止により、接種機会を逃した年代の方々にもHPVワクチンの接種は有効性が高いことが確認されております。
キャッチアップ接種の詳細は以下の通りです。
●対象:①1997年4月2日〜2007年4月1日に生まれた女性(17歳〜26歳)
ああaあ②過去に合計3回のHPVワクチン接種を完了していない
●期間:2022年4月〜2025年3月の3年間
●費用:無料(公費負担) ※1回接種したことがある方は残り2回、2回接種したことがある方は残り1回、公費で接種できます。
◎当院での対応
当院では引き続きHPVワクチンの定期接種、キャッチアップ接種、自費接種(27歳以上の女性、9歳以上の男性)を受け入れております。
定期接種・キャッチアップ接種対象者は、より有効性が高い9価HPVワクチン接種をお勧め致します。また27歳以上の女性の方、9歳以上の男性は自費接種になります。
自費接種は以下の通りです。
●9価HPVワクチン 28,000円/回(女性のみ ※男性は適応外)
●4価HPVワクチン 16,000円/回(27歳以上の女性、9歳以上の男性)
◎まとめ
2023年度より定期接種・キャッチアップ接種で9価HPVワクチンが接種可能になりました。HPVワクチンは『子どもを守る、家庭を守る、社会を守る』夢のワクチンだと考えます。自分を守るため、大切なお子さん、大切な家族、大切なパートナーを守るため、HPVワクチンの接種をご検討いただけると幸いです。