【助産師監修】母乳をやめるタイミングはいつ? 「断乳」と「卒乳」の違いと乳房トラブル対策
こんにちは!Sunnyキッズクリニック助産師の吉原です。
母乳育児を頑張っているママにとって、「いつおっぱいをやめるか」は大きな悩みの一つですよね。
今回は、授乳をやめる時期についてよく聞く「断乳」と「卒乳」の違いから、公的機関の推奨期間、そしてスムーズに断乳を進めるための具体的なポイントまで、詳しくお話しします。
1. 「断乳」と「卒乳」の違いとは?
同じ「おっぱいをやめる」という意味合いですが、主体(誰が決めるか)によって言葉を使い分けます。
🌟 断乳(だんにゅう)とは
断乳とは、ママ(母親)が母乳をやめる時期を決めることを言います。
保育園に入る、夜間授乳をやめたいといった理由で、赤ちゃんが泣いて求めてもグッと堪えておっぱいをあげずにやめていく方法です。赤ちゃんにとっては意思ではないため、これは断乳にあたります。昼間だけ、夜だけといった「部分断乳」をする方もいますが、授乳回数が急激に減るため、乳腺炎などの乳房トラブルを起こしやすい傾向にあります。
🌟 卒乳(そつにゅう)とは
卒乳とは、子ども(赤ちゃん)が母乳をやめる時期を決めることを言います。
赤ちゃんが成長し、様々なことに興味を持ち、おっぱいの回数が自然と減っていき、いつの間にか飲まなくなるというプロセスです。ゆっくりとおっぱいに興味がなくなり回数が減っていくため、乳房トラブルが起きにくい傾向にあります。
2. 母乳はいつまで続けるべき?公的機関の定義
「そもそも、おっぱいはやめなくてはいけないものなの?」と疑問に思う方もいるでしょう。公的機関が出している定義を見ると、驚かれるかもしれません。
- WHO・ユニセフは、生後6ヶ月は母乳だけで育て、離乳食開始後も2歳またはそれ以上まで母乳育児を続けることを勧めています。
- アメリカ小児科学会は、少なくとも12ヶ月、それ以降は母と子が望む限り長く吸わせることを推奨しています。
- 厚生労働省は、「いつまで母乳を続けるのが適切かに関しては、母親の考えを尊重して支援を進めていきたい」としています。
これらの定義を見ると、どこにも「いつまでに断乳をしなければいけない」という決まりはないことがわかります。ママがおっぱいをあげたい、赤ちゃんもまだ飲みたいという希望があるならば、仕事や保育園に通いながらでも母乳育児は続けていけます。
3. 断乳を考えている方へ!乳房トラブルを防ぐ3つのポイント
様々な理由から、ママが時期を決める断乳を選ばなければならない方もいます。ご自宅で断乳をトライする方のために、乳腺炎などの乳房トラブルを起こさないようにするポイントを紹介します。
☝️ 授乳回数を「少しずつ」減らす
母乳は「飲まれた分だけ作られる」という仕組みです。回数が多いと、その分たくさん作られているので、飲ませない時間帯に母乳がたまり過ぎて乳腺炎等のトラブルへと繋がります。時間をかけて回数を少しずつ減らし、分泌量を減らしていきましょう。
☝️ 分泌量を維持したい場合は搾乳をする
一時的に内服治療などで断乳するが、母乳量を維持したいという方もいます。そのような場合は、3時間を目安に搾乳をしましょう。電動搾乳器でも手でも、どちらでも大丈夫です。
☝️ お母さんの「体調が良いタイミング」で行う
疲れが溜まっていたり、体調が悪いと免疫力が低下し、乳腺炎も起こしやすくなります。断乳は、体調が万全な時に、無理のないスケジュールで始めるよう心がけましょう。
4. 助産師からのメッセージ
おっぱいをやめるタイミングも理由も、人それぞれ違って良いのです。
「仕事復帰で部分断乳しなければならない」「夜間の授乳が大変でおっぱいやめたい」など、お困りの場合は、いつでもSunnyキッズクリニックの助産師外来にご相談ください。ママと赤ちゃんにとって最善の方法を一緒に考えていきましょう。