子どもの病気コラム
ホクナリンテープの間違えた認識
こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。
今回はホクナリンテープについて勉強していきます!
ホクナリンテープってなに?
クリニックを受診する時に、診察を受けていないのにもかかわらず、テープを貼って来院するお子さんが多いことにびっくりします。世の中では咳を抑えるテープとして認識されていることが多いお薬ですが、本当に咳を止める効果があるのでしょうか?
このテープに含まれる、ホクナリンという成分は、気管支を広げるお薬です。心臓や神経などにも作用するため、副作用として、動機や手足の震えなどの症状が出ることもあります。このホクナリンと同じ成分の飲み薬や、吸入薬が効果発現までにかかる時間が短いのに対し、このお薬はテープにその成分が入っており、じわじわ皮膚からお薬が吸収されるため、効果が出るのは6ー8時間後からであり、その後24時間程度効果が持続します。内服薬や、吸入薬と異なり、効果が長持ちするので、早朝に起こる喘息発作を、予防することができます。ここでいう喘息発作とはあくまでも気管の狭窄に伴うような、ヒューヒュー、ゼコゼコ、ゼーゼーなどの症状を抑えます。咳を予防する効果は前述する作用からも全くないのです。また喘息発作の予防には効果がありますが、即効性がないため、すでに起こっている喘息発作を抑えるような効果はありません。
ホクナリンテープは咳を止められるの?
ホクナリンテープには咳を止める効果は全くありません。
このお薬の効果は気管支の拡張効果です。つまり、気管支喘息、気管支炎などで気管支を取り巻く筋肉が炎症を起こし狭くなっている空気の通り道を広げる効果しかないのです。厳密に言えば、気管支が広がるので、奥の方にたまった痰が出やすくなるような作用はあります。しかしこの痰を出すために生体反応として、咳が少し悪化する事はあっても、少なくとも咳が止まるような作用は全くないのです。
お薬なので副作用ももちろんあります。前述の通り、薬の作用部位が、気管支以外にも心臓や、交感神経にもあります。心臓に作用すれば、動機が起こり、神経に作用すれば、四肢の震えなどの症状が出ます。またアレルギー反応が出ることや、体の中のカリウムいう電解質が低下し、筋力低下、不整脈などを起こす危険性もあるのです。実際、調子が悪い時にこのような貼るお薬は、飲み薬よりもパパ、ママの立場から考えて気軽に使えると思いますが、その分危険も多いです。咳が出て、ホクナリンテープを使用してもそれは咳止めにはなりません。貼る前にもう一度、この薬が必要かどうか、もう一度しっかり考えてください。
また、クリニックの方でこの薬が処方された時もパパ、ママの方で貼る前にもう一度、気道狭窄症状=ヒューヒュー、ゼコゼコ、ゼーゼーなどの症状があるのか確認していただければと思います。1回だけではわからないと思いますので、お子さんのこれらの症状がわからない場合には、クリニックで一緒に確認しましょう。
お困りの際はいつでもご受診ください。
ではまた!
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