共同意思決定とは?|腎臓専門医が解説します

かつて、治療方針は医師が決め、ご家族がそれに従う「パターナリズム」という時代でした。
その後、1964年に「ヘルシンキ宣言」で臨床研究における患者への情報提供と同意が定められたことで、医師個人の経験によるバラツキをなくし、客観的で正しい治療を選択する動きが生まれました。
1990年代には「科学的根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine=EBM)」が普及し、信頼できる臨床試験や研究から得られた客観的なデータが重要視されるようになりました。
さらに、医療者が患者に必要な情報と選択肢を伝えて、患者が自己責任で意思決定を行う「インフォームド・アプローチ」という時代に入りました。
このプロセスでの患者の同意が「インフォームド・コンセント」です。
そして、近年、医師がEBMに基づく複数の選択肢を提示し、患者が自身の価値観や生活背景に合わせて医師と共に治療方針を決定する、「共同意思決定(Shared Decision Making=SDM)」が確立されてきました。

共同意思決定の4要素は、以下のとおりです。
治療には大なり小なり、メリット・デメリットが存在します。
例えば、以前小児科コラムに記載したアラーム療法は、有効性が高いものの、レンタル費用あるいは購入費用が発生したり、アラーム稼働時はご家族も起こされたりします。
私たち医療者は、そのメリット・デメリットの双方を丁寧に説明させていただきます。
医学的にメリットのほうが大きいと思われる治療をご提案しますが、時にご本人・ご家族にとってデメリットのほうが大きい場合もあります。
共同意思決定とは、治療の正解を探すのではなく、医療者とご本人・ご家族が一緒に目指せる治療のゴールをしっかり話し合い、結論を出すことです。
まず、問診で生活リズムや習い事などを確認します。
共働きで夕食の時間が遅めだったり、ダンスやサッカーなどの習い事が夕方にあったり、ご家庭それぞれにご事情がありますよね。
その中で、変え難い事象、優先事項、ご本人・ご家族が大事にしている価値基準を伺います。

次に、医師から治療のメリット・デメリットを説明します。

最後に、ご本人・ご家族の希望を踏まえ、方針を提案します。

「部活動や受験勉強に影響しないようにしたい」「アラーム療法で睡眠を妨げられたくない」など、大事にしたいものは人それぞれです。
最も重要なポイントは、『ご本人、ご家族の意思』です。
ご本人、ご家族に適した治療を一緒に考えましょう。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

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