子どもの病気コラム

よくある子どもの病気

胃腸炎時・嘔吐時の水分摂取の正しい方法

胃腸炎・嘔吐時の水分摂取
飲み物の種類は?
たくさん吐いているけど大丈夫?

吐いた直後に焦って飲ませなくても大丈夫
最初はスプーン1杯程度の少量から試していく
水・お茶はNG。塩分と水分が入ったものの選択を
尿回数が少ない、嘔吐回数が多い、顔色が悪い、活気不良は受診を
 自宅でどうやって脱水を評価するの?

こどもの特徴として、大人と比較し体内を構成する水分の量が多く容易に水分を失いやすいので脱水になりやすいのが特徴です。

しかしながらこども達も自分の体格に合わせた水筒(予備のタンク)のようなものをもっている為、1−2回の嘔吐では脱水にはなりません。

その為、顔色が悪い、活気がない、血便が出る、お腹をすごく痛がるなどがなければ、自宅で少し様子を見る時間はあります。高熱、嘔吐、下痢など水分を失いやすい状況では、こまめにこども達の状態を見てあげることが重要です。下記に、観察のポイントを書いていきます。

嘔吐・下痢の回数が多い 目安として5−6回/日以上
唇、口腔内の乾燥、目、皮膚の潤いがない
泣いた時に涙やよだれがでない
目が落ちくぼんでいる
唇が真っ青など、顔色が悪い
活気がない、機嫌が悪い、ボーッとしていて遊ばない
尿(おしっこの回数が少ない 8―12時間程度出ていない、尿の色が濃い)

このような症状が見られる時、またパパ、ママが不安に感じたり、普段と何か違うと思ったときは必ず医療機関の受診をしてください。

またクリニックのスタッフも行う簡単な脱水評価として、CRT(Capillary refilling time毛細血管再充満時間)というのがあります。

こども達の親指の爪を5秒ほど圧迫し離してみてください。2秒以内に色が戻れば循環は問題ないという指標になります。もしわからなければクリニックで聞いてみてください。

どうやって水分を取らせればいいの?

先ほども話した通り、水筒をもっているので焦って飲む必要はありませんが、大体目安として1日に必要な最低の水分量は、乳幼児で体重1kgあたり50〜100ml程度と考えられます。つまり10kgのお子さんは最低500ml /日程度の水分摂取が必要です。

胃腸炎の時は腸管の動きが悪く大量に飲んでも消化できず胃内に留まるため容易に嘔吐します。

その為嘔吐が起きたときはまず1−2時間程度様子を見て、その後からゆっくり水分摂取を始めてください。最初はスプーン1杯orペットボトルのキャップ1口程度から始めて(5ml程度)10〜15分おき程度に根気強く飲ませてください。

1時間ほど経っても嘔吐がなければ徐々に上げる水分を増やしていってもらえればと思います。食事は1日に必要な水分量がしっかり取れるようになってからで問題ないです。糖分が入った水分をとっていればそのカロリーで問題ないです。

どんな水分をとればいいの?

汗、下痢、嘔吐物から、糖分や、塩分の喪失は起こっています。水やお茶などの糖分や塩分を含まない飲み物はやめてください。吸収も悪いです。

糖分、塩分が入った飲み物として、スポートドリンクや、イオン飲料などがあります。これらも多少は糖分塩分が入っていますが、一番いいのは経口補水液です。OS−1、アクアライトなど。

これらが合わず飲めない場合には自宅で作ることも可能です。湯冷まし(きれいな水)1Lに砂糖 40g(大さじ4杯と半分)と食塩 3g(小さじ半分)を混ぜて良くかき混ぜます。果汁(レモンやグレープフルーツなど)を絞ると飲みやすくなり、カリウムの補給にもなります。

まとめ

このようになるべく自宅でケアをしてあげることがお子さんの負担が少なく効果的です。点滴はあくまでもその場しのぎでお子さんの痛みも伴う処置です。原因の解決には点滴はなりません。時間稼ぎなのでいくらクリニックで点滴を行っても自宅で適切なホームケアを行えなければ脱水になります。

しかし、自宅でのケアも大変なので、何かお困りなことや心配なことがある場合はクリニックを受診してくださいね。