子どもの病気コラム
【医師解説】風邪に抗生物質は必要? 不要な薬が効かない体を作る? 正しい知識と対処法
お子さんが咳や鼻水、熱を出すと「早く治してあげたい」「抗生物質をもらった方がいいのでは?」と心配になりますよね。しかし、「風邪」の治療において、抗生物質が効くケースはほとんどありません。
今回は、風邪の正体から、抗生物質が必要な場合とそうでない場合、そしてご家庭でできる適切なケアについて、詳しく解説します。
1. 「風邪」って何? なぜ抗生物質が効かないの?
風邪の正体は「ウイルス」
風邪とは、咳、鼻水、喉の痛みなどの局所症状に、発熱、倦怠感などの全身症状を伴った状態を指します。
- 原因の80〜90%以上がウイルス感染です。細菌感染症によるものは10〜20%未満です。
- 風邪の原因となるウイルスは約400種類以上あり、何度も同じような症状の風邪を繰り返してしまうのはこのためです。
- 乳幼児期に風邪を繰り返すことで、お子さまは徐々に自身の免疫機構を構築し、丈夫な体になっていきます。
ウイルスに抗生物質は無力です
抗生物質は、細菌を殺すための薬です。そのため、80〜90%を占めるウイルス感染症の場合、抗生物質は全く効きません。
治療の基本は、インフルエンザなど一部の例外を除き、薬で症状を抑えながら、**自身の免疫力で病気が治るのをサポートすること(対処療法)**になります。
2. なぜ「風邪=抗生物質」は間違いなの?
以前は「こじらせるのを防ぐため」と、風邪の初期から抗生物質が使われる考え方もありましたが、数々の研究から予防効果がないことが証明されています。
❌ 不必要な抗生物質のリスク:耐性菌(たいせいきん)
不要な抗生物質を飲む最大のデメリットは、耐性菌を作り出してしまうことです。
- 抗生物質を飲むと、体内にいる病原性のない菌も含めて、薬に耐性を持つ細菌(耐性菌)が生き残り、増えていきます。
- もし、この耐性菌が将来的に体に悪さをして感染症を引き起こした場合、薬が効かないため、病気の治療が難しくなり、お子さまを苦しめる結果となるのです。
お子さんを守るためにも、「風邪の初期で活気がある時」は、抗生物質は不要と考えてください。
3. 風邪にはどんな薬を使うの?
風邪の治療は、体の中での免疫ができるのを待つ間に、咳、鼻水、熱といった辛い症状を和らげるための「サポート薬」が中心になります。
【主なサポート薬(対処療法薬)】
- 熱冷まし(解熱剤): コカール、カロナール、アンヒバ坐剤など
- 痰きり: ムコダイン、ムコソルバンなど(痰を出しやすくする)
- 咳止め: アスベリンなど(咳を和らげる。強い咳を止める作用は強くない)
- 喉の炎症を抑える薬: トランサミンなど
【注意点】 これらのサポート薬は、症状を和らげるためのもので、病気の原因を解決するものではありません。そのため、薬を飲んでも、咳や鼻水はすぐには治りません。ゆっくり休みながら徐々に良くなるのを待つ必要があります。
4. 抗生物質が必要になるのはどんな時?
抗生物質が使用されるのは、細菌感染症があることが明らかな場合です。
二次的な細菌感染症
最初はウイルス性の風邪でも、経過をこじらせて二次的に細菌感染が起こることがあります。
- 気管支炎・肺炎: 痰をうまく排泄できず、肺や気管支に細菌が溜まり感染が起こった場合。
- 中耳炎: 鼻づまりが原因で、鼻と耳を繋ぐ「中耳」に細菌が溜まり、炎症を起こした場合。
- 扁桃炎・咽頭炎: 溶連菌などにより喉に膿がつくなど、明らかな細菌感染がある場合。
受診を検討する目安
お子さまに以下のような症状が見られた場合は、重症な感染症や細菌感染症がないかを判断するため、医療機関の受診を検討してください。
- 3〜5日以上熱が続くなど、なかなか症状が良くならない
- ぐったりしている、活気がない、機嫌が悪い
- 顔色が悪いなど、全身の症状が強く出ている
当クリニックでは、問診、診察、検査などを行い、抗生物質が必要かどうかを判断させていただきます。
抗生物質が処方された場合は、必ず用法、用量、日数をしっかり守ってください。 中途半端な内服は、薬が効かない耐性菌を作り出してしまう原因となります。
5. まとめ:パパやママができること
ウイルス感染に伴う風邪を治す薬がない以上、パパやママの適切なケアが最も大切です。
【ご家庭でできる風邪ケアの基本】
- 自宅でゆっくり休ませる: 無駄な外出を控え、体力の回復を助けましょう。
- 水分と食事をこまめにとる: 脱水予防と栄養補給のために、消化しやすいものを与えましょう。
- お子さんに寄り添いサポートする: 薬が全てではなく、お子さんがしっかり休める環境を作ってあげることが何よりの治療です。
疑問点や不安などがあれば、迷わずクリニックを受診してください。
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