子どもの病気コラム

小児皮膚疾患

乳児血管腫(いちご状血管腫)ってどんな病気? 自然に治る? 治療は必要?

こんにちは。Sunnyキッズクリニックです。

赤ちゃんのお顔や体に、真っ赤なアザを見つけてご心配になる保護者の方も多いのではないでしょうか。これは「乳児血管腫」、通称「いちご状血管腫」と呼ばれるものです。

この記事では、乳児血管腫の基本的な知識から、自然な経過、そして治療が必要なケースについて、分かりやすく解説します。


 

1. 乳児血管腫(いちご状血管腫)とは?

どんな病気?

乳児血管腫は、皮膚の表面や内部にできる「赤あざ」の一種です。これは、未熟な毛細血管が異常に増殖することで発生する良性の腫瘍で、苺(いちご)のような見た目から『いちご状血管腫』とも呼ばれます。

血管腫は、腫瘍が皮膚のどの深さにあるか、どの程度盛り上がっているかによって細かく分類されます。

 

発生頻度と部位

  • 頻度: 日本人では約1.7%の赤ちゃんに発生するとされ、比較的多く見られます。特に早産児や低出生体重児での発生頻度が高い傾向があります。
  • 発生時期: 新生児期から乳児期早期にかけて現れます。
  • 発生部位: 全身の皮膚だけでなく、内臓にできることもありますが、最も多いのは**頭頸部(顔や首)で全体の約60%**を占めます。次いで体幹(お腹や背中)が25%、四肢(手足)が15%と報告されています。

 

2. 乳児血管腫の「自然経過」を知る

乳児血管腫には、特徴的な3つの自然経過(フェーズ)があります。

 

① 増殖期(生後2週間〜6ヶ月頃がピーク)

生後2週間程度で現れ、生後1〜2か月から急速に大きくなります。多くは生後6ヶ月前後で最大の大きさに達します。この時期に「赤くてどんどん大きくなる」ことで、保護者の方が特に心配になることが多いです。

 

② 退縮期(1歳前後〜数年間)

生後1歳前後になると、血管腫は自然に小さくなり始めます。この時期を退縮期と呼びます。

③ 消失期(3歳頃が中央値)

腫瘍が徐々に縮小し、色が薄くなっていきます。腫瘍が完全に消失する年齢の中央値は3歳頃とされますが、病変の大きさや深さによっては、さらに時間がかかる場合もあります。

 

後遺症のリスク

ほとんどが自然に改善しますが、注意が必要です。

  • 病変が大きい、または腫瘍型・皮下型などの場合は、治った後も皮膚の萎縮(しわになる)、瘢痕(キズ跡)、毛細血管の拡張(赤い網目のような跡)といった後遺症を残すことがあり、整容的な問題になることがあります。

 

3. 治療は必要? 受診の目安

乳児血管腫は「良性」であり、多くは自然に治癒しますが、治療をしないと将来的に問題を残す可能性がある場合や、機能に影響が出る場合には積極的な治療が必要です。

乳児血管腫の大きさ・形・発生部位によって、治療方針(経過観察か、積極的治療か)が分かれます。

 

【積極的な治療が必要な可能性があるケース】

以下のいずれかに当てはまる場合は、積極的に治療を行うべきとされています。

  • 生命に関わる危険がある場合(内臓など重要臓器に発生している場合)
  • 機能障害の危険がある場合(眼の周囲、鼻、口、耳の周囲など)
  • 重大な整容上の問題が残る危険がある場合(顔の中心部など)
  • 潰瘍化(ただれ)の危険が高い場合

 

【経過観察が可能なケース】

以下のような場合は、自然治癒を待つ経過観察が可能と考えられます。

  • 体の目立たない部分に発生している
  • 病変が小さい(例:直径5mm未満)
  • 潰瘍化の危険性が低い
  • 機能的な障害がない

 

4. 乳児血管腫の治療法

積極的な治療が必要と判断された場合、主に以下のような治療が行われます。

  1. 薬物療法(プロプラノロール内服) 血管を収縮させることで、腫瘍の増殖を抑え、退縮を早める効果があります。現在は、乳児血管腫の第一選択薬となっています。
  2. レーザー照射療法 主に潰瘍の治療や、退縮後に残った赤みを改善するために行われます。
  3. 外科的治療 稀ですが、機能障害が強い場合や、他の治療で改善しない場合に選択されます。

 

最後に

乳児血管腫は急速に大きくなる時期があるため、保護者の方にはご不安もあるかと思います。特に顔や目の周りなど、デリケートな部位にある場合は、将来的な影響を考慮し、早期に小児科や皮膚科、形成外科にご相談いただくことをお勧めします

当院では、お子さまの血管腫のタイプをしっかり見極め、最適な治療方針をご提案いたします。どうぞお気軽にご相談ください。

 

図や写真付きでさらに詳しく知りたい方は、こちらも参考にしてみてください。

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