子どもの病気コラム
起立性調節障害(OD)とは? 思春期に多い症状とご家庭でできる対策
こんにちは。Sunnyキッズクリニックです。
お子さんが「朝なかなか起きられない」「立ちくらみがひどい」「なんだかいつも体がだるそう…」といった症状を訴えることはありませんか? もしかしたらそれは「起立性調節障害(OD)」かもしれません。
思春期のお子さんに多く見られるこの病気について、今回は原因から症状、診断方法、そしてご家庭でできる対策まで、詳しく解説していきます。
1. 大切なポイント
- 起立性調節障害(OD)は、思春期に多く見られる自律神経の不調が原因で起こります。
- 症状は立ちくらみ、だるさ、頭痛などが中心で、特に午前中に強く現れるのが特徴です。
- 症状が軽ければ、生活習慣を整えることで改善することもあります。
- 改善しない場合や症状が強い場合には、医療機関での適切な対応が必要です。
2. 起立性調節障害(OD)とは?
自律神経の不調が原因
わたしたちは、横になっている状態から立ち上がる時に、血液が重力によって一時的に下半身に集まります。この時、交感神経と副交感神経からなる自律神経が働き、下半身に集まった血液を脳へと素早く戻すよう調整します。
しかし、この自律神経のバランスが崩れると、脳への血流がスムーズに戻らなくなり、様々な体調不良を引き起こします。これが起立性調節障害(OD)です。
心身症の側面も
ODは、身体的な問題だけでなく、心理的なストレスとの深い関係も指摘されています。心の状態が体調に影響を与える「心身症」の一面も持っており、精神的なサポートも重要になります。
3. 起立性調節障害が発症する年齢は?
ODは主に小学校高学年から高校生までの思春期に発症します。特に中学生の約10人に1人はODを経験していると言われており、決して珍しい病気ではありません。
思春期の間に自然に改善することが多いですが、回復までの時間は個人差が大きく、症状が長引くこともあります。
4. どんな症状?
起立時に脳への血流が戻りにくくなることで、以下のような様々な症状が現れます。
- 立ちくらみやめまい、ふらつき
- 頭痛
- 倦怠感や疲労感(朝起きられない、日中だるい)
- 食欲不振、吐き気
- 起立が困難(長時間立っていられない)
- 動悸や息切れ(少し動くとしんどい)
- 顔色が青白い
- お腹の痛み(へその周りが痛むことが多い)
- 乗り物酔いしやすい
これらの症状は、通常午前中に強く現れ、午後から夜にかけて改善することが多いという特徴があります。
5. 診断方法は?
ODが疑われる場合、まずは他の病気(貧血、甲状腺機能異常、不整脈など)が隠れていないかを確認するために、血液検査や心電図などが行われます。
その上で、以下のチェックリストや新起立試験を用いて診断を進めます。
症状のチェックリスト(代表的な項目)
- 立ちくらみやめまいが起こりやすい。
- 立っていると気持ちが悪くなり、倒れることがある。
- 入浴時あるいは嫌なことを見聞きすると気持ちが悪くなる。
- 少し動くと動悸あるいは息切れがする。
- 朝なかなか起きられず午前中は調子が悪い。
- 顔色が青白い。
- 食欲不振。
- 臍の周りの痛みを時々訴える。
- 疲れやすい。
- 頭痛が起こる。
- 乗り物に酔いやすい。
上記のうち3つ以上該当する場合は、ODの可能性が高まります。
新起立試験
症状が強く現れる午前中に実施されます。横になった状態から立ち上がった際の血圧の回復時間や血圧・心拍数の変化を詳細に計測し、ODのタイプを判定します。
6. 治療法は? ご家庭でできる対策
ODの治療法は症状の強さに応じて異なりますが、まずはご家庭でできる生活習慣の改善から始めることが推奨されます。
ご家庭でできる対策(軽度の場合)
- ゆっくりと立ち上がる: 急に立ち上がると血流が急激に変化してしまうため、心臓と頭の高さを保ちながらゆっくりと立ち上がりましょう。
- 着圧ソックスをはく: 足に血液が溜まるのを防ぎ、脳への血流を助ける効果が期待できます。
- 水分と塩分をしっかり摂取する: 1日1.5~2Lを目安に水分を摂り、塩分もやや多めに摂ることで、血液量を増やし、血圧を安定させやすくなります。
- 適度な運動をする: 特にふくらはぎの筋肉を鍛えることで、血液を心臓に戻すポンプ作用が高まります。毎日30分程度のウォーキングなど、無理のない範囲で体を動かしましょう。
- 規則正しい生活リズム: 早寝早起きを心がけ、朝は太陽の光を浴びることで、自律神経のバランスを整えることができます。
医療機関での対応
上記の対策を行なっても改善が見られない場合や症状が強い場合は、薬物療法を検討します。血圧を上げる薬などが用いられますが、薬を始めてすぐに効果が得られるわけではないため、生活習慣の改善も同時に行うことが非常に大切です。
最後に
起立性調節障害は、お子さん自身も辛く、保護者の方もどう対応して良いか悩むことが多い病気です。しかし、適切な理解と対応、そして治療によって症状の改善が期待できます。
「これは怠けなのでは?」と誤解されがちですが、本人の意思でコントロールできるものではありません。もしお子さんに疑わしい症状が見られたら、一人で悩まず、どうぞお気軽に小児科にご相談ください。当院では、お子さん一人ひとりに合わせたサポートと治療をご提案いたします。
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