マイコプラズマ感染症について
・基本的には軽症の感染症で、検査や抗菌薬を必要としない。
・好発年齢(5歳以上)や周囲の流行などを踏まえ、熱が長引く、咳が良くならないなどがあれば検査適応。
・マイコプラズマの迅速検査は、検査精度が低く、陰性でも抗菌薬の適応となる場合がある。
マイコプラズマは風邪症状や肺炎などを起こす細菌の1種
マイコプラズマは、風邪、気管支炎、肺炎などを引き起こす細菌の一つです。
しかし、一般の細菌とは少し構造が異なります。「ウイルスと細菌の中間」みたいな言われ方をすることもあります。
そのため、一般的な抗生物質が効きにくいなどの特徴があります。
基本的には普通の風邪と同じような症状です。
- 咳
- 咽頭痛
- 頭痛
- 倦怠感(だるさ)
- 嘔吐
- 下痢
- 腹痛
その多くは軽症のため風邪と区別がつきませんが、感染をきっかけに下記のような病気に発展する可能性があります。
- 肺炎
- 気管支炎
- 腸炎
- 髄膜炎
- 脳炎
これはマイコプラズマが直接、 体に悪さをするだけではなく、感染した人の免疫反応により、さまざまな症状を引き起こすと考えられています。
肺炎になる確率は3~5%ですが、小児肺炎の約2割を占めると言われています。5歳未満では頻度が低くなります。
マイコプラズマに感染して肺炎になるのは、感染者の3~5%程度です。とくに幼児〜学童が肺炎を起こしやすいです。
マイコプラズマ肺炎の典型例としては、感染後に発熱し、徐々に咳が悪化してくる点が特徴です。
- マイコプラズマの感染で直接体に影響を与える作用
- マイコプラズマの感染した人の免疫が過剰に反応することによる作用
といった2種類の作用によって病気が引き起こされます。
咳の特徴としては、痰を伴わない乾いた咳が続くのが典型例です。好発年齢は、幼児から学童、とくに5歳以上に多くみられます。
感染の経路は患者の咳のしぶきを吸い込んだり、患者と身近で接触したりすることにより感染すると言われています。感染してから発症するまでの潜伏期間は長く、2~3週間くらいとされています。
咽頭ぬぐい検査と血液検査があります。
当法人グループでは、15分ほどで結果が出る咽頭ぬぐい検査(マイコプラズマ抗原迅速検査)を実施することが多いです。
マイコプラズマ感染症を診断する方法としては、以下のものが挙げられます。
①マイコプラズマ抗原迅速検査:15分ほどで結果が得られるが、感度が低く、結果が陰性でも否定できない特徴がある。
②LAMP法検査:遺伝子検査のため検査会社に依頼する関係上時間がかかる。精度は高い。
③血液検査:マイコプラズマの抗体価を調べる検査で、一般的に1週間前後かかる。また2回検査が必要になる場合がある。
精度の課題はありますが、クリニックで診察する患者さんでは検査の迅速性も重要視されるため、①を採用することが多いです。
入院管理が必要なレベルの患者さんでは、②や③の方法を採用することが多いです。
効果のある抗生物質を使用します。
マイコプラズマ感染症は基本的に自然治癒する疾患です。必ず抗生剤治療が必要なわけではありません。すでにご説明している通り、マイコプラズマ感染者の3~5%の方が肺炎などを発症します。
抗生剤については、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、アジスロマイシンなど)が有効とされていましたが、近年マクロライド系の抗生物質は効きにくくなっています。 これは、抗生物質の乱用、抗生物質が適切に使用されてこなかったことが背景にあります。 他にニューキノロン、テトラサイクリン系抗生物質も効果があります。
しかし、マクロライド系抗生物質で効果がある場合は、 もっとも有効であり、現在でも第一選択薬はマクロライド系抗生物質になります。 マクロライド系抗生物質では効果がない場合、そのほかの抗生物質であるオゼックス、ミノマイシンを投与することもあります。
ただし、ミノマイシンは8歳未満のお子さんが服用すると歯芽を黄色く変色させ、永久歯に黄色い線が入ってしまうことがありますので、原則禁忌です。オゼックスは広域抗菌薬に当たるため、耐性菌をこれ以上発生させないためにも適正使用が求められます。ペニシリン系やセファロスポリン系の抗生剤は効果がありません。
また、マイコプラズマ感染に伴う咳などの諸症状は長引くこともありますが、基本的に自然に治癒するので、しっかりと体力を回復させ、水分栄養補給と休養が重要です。
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