子どもの病気コラム

アレルギー

アナフィラキシー

こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。

今回はアナフィラキシーについて勉強していきます!

アナフィラキシーとは短時間で全身(複数臓器)あらわれる急性のアレルギー反応です。

アナフィラキシーは急激に悪化しアナフィラキシーショックという命にかかわるとても危険な状態になってしまう可能性があるため注意が必要です。

アナフィラキシーの主な原因は食物、薬、ハチ毒です。

症状は皮膚・粘膜(痒み、発疹、紅く腫れる)、呼吸器(喉の痒み・違和感、ヒューヒュー、咳嗽、呼吸困難)、消化器(嘔吐、腹痛、下痢)、循環器、中枢神経系と多岐にわたります。

アナフィラキシーショックを疑った場合は迷わずエピペンを使用してください。エピペン使用が命を救います。万が一のためにエピペン使用方法の定期的な確認が必要です。

アナフィラキシーとは

アナフィラキシーとは『アレルゲン等の侵入により、複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起され、生命に危機を与え得る過敏反応』を指します。アナフィラキシーの主な原因は食物、薬、ハチ毒です。中でも国内の発生件数としては食物が圧倒的に占めており、小児では卵・牛乳、成人では小麦・甲殻類・果物が多いとされます。日本においてアナフィラキシーの既往を有する児童生徒の割合は小学生0.6%、中学生0.4%、高校生0.3%と言われております。致死的なアナフィラキシーでの呼吸停止・心停止までの時間は薬物5分、ハチ毒15分、食物30分という報告があり、速やかな対応が望まれます

症状はどんなものがあるの?診断は?

アレルゲン曝露後に各臓器に以下のような症状を認めます。

また以下の症状を認めた場合はアナフィラキシーショックといい命にかかわる危険な状態です。

アレルゲン曝露後に以下の場合満たした場合にアナフィラキシーと診断します。

また各臓器症状の程度によりアナフィラキシーの重症度をきめます。

治療はどうするの?

➀エピペンについて
アレルゲン摂取後に複数臓器にわたりアレルギー症状を認める場合はアナフィラキシーの可能性があります。反応が悪い・意識がないとき、脈の振れが弱いときなどはアナフィラキシーショックの状態であり直ちにエピペン投与が必要になります。とはいえ実際エピペン投与に迷ってしまう人が多いと思います。アレルゲン摂取直後に以下の図の症状を1つでも認めた際は躊躇せずにエピペン投与を行ってください

エピペン投与に恐怖を感じる方がおりますが、エピペンの副作用は以下のとおりととても軽く、またこれらの副作用は全例回復を確認されたとの報告されています。何度も強調しますが迷ったら投与してください。その行動がお子さんの命を救うかもしれません

エピペンはあくまでアナフィラキシーの補助治療であり、根本治療ではありませんエピペン投与後は必ず医療機関を受診してください。またエピペンは正しく使えないと意味がありません。エピペンを処方する際に練習用のエピペンで指導させていただきます。またいずれはお子さんへの指導も重要になります。定期的に使用方法の確認をさせてください。

➁アナフィラキシーの対応について
まず呼吸の有無、意識の確認、脈が触れるかの確認を短時間に行ってください。周囲の人に助けを求め、エピペンの準備、救急要請をしてください。エピペン投与すべき症状を認めた際は迷わず投与してください意識がない場合は仰向けにして下肢挙上してください嘔吐している場合は嘔吐物で気道をふさがないように側臥位(体を横に向ける)にしてください。呼吸が苦しく横になれない場合は少し状態を起こしてあげてください。

その他:エピペンの注意点は?

いつでも使えるように自宅では手の届く場所においてくださいまた外出時も必ず携帯してください。注射器の窓から見える薬液が茶色に変色してないか、沈殿物を認めないか定期的に確認し、確認された場合は交換してください。

その他:エピペンの保存方法は?

日光のあたる高温下や夏場の車のダッシュボードの中には放置しないでください。冷蔵庫の中にはおかないでください。幼児の手の届かない場所で保管してください。

その他:夏場にエピペンを持ち歩くにはどうしたらいいの?

冷蔵庫で冷やした保冷剤をタオルに包みエピペンと一緒にバックに入れる(冷凍庫凍らせた保冷材は冷やしすぎてしまう恐れがある)、冷たい飲料水の入ったペットボトルと一緒にバックに入れるなどの工夫が良いかとおもいます。

その他:食物依存性運動誘発アナフィラキシーとは?

アレルゲン食物の摂取後に運動負荷をすることによって、全身蕁麻疹、喘鳴などのアレルギー症状が誘発される特殊なアナフィラキシーがあります。とある調査では有症率は1/6000にと言われております。原因食物に関して日本では小麦51%、エビ24%と大部分を占め、イタリアではトマト30%、小麦10%と地域ごとにも原因食物が異なります。前述したアナフィラキシー症状を呈し、また同様の治療・対応が求められます。給食でアレルゲンを摂取し、その後の体育の授業で発症することが多いかと思います。運動前に原因食物を摂取しない事、原因食物摂取後2時間は運動を控えることが重要です。原因食物を摂取していない場合の運動制限は不要です。

 

発症した場合は早期の対応が鍵となります。こちらの知識がお役に立てればと思っています。

お困りの際はいつでもご受診ください。

ではまた!