子どもの病気コラム

感染症

クループ症候群について

こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。

今回はクループ症候群について勉強していきます!

クループ症候群は主にウイルス、細菌感染による喉周囲が狭くなり空気の通りが悪くなる病気をまとめて指します。
多くは夜間に吸気性喘鳴(息を吸うときヒューヒュー)、犬吠様咳嗽(犬やオットセイが鳴くような咳)、嗄声(枯れた声)などを認めます。
クループの好発年齢は生後6カ月~3歳ころまでの乳幼児、急性喉頭蓋炎は年長~就学前のお子さんや成人で報告されております。
クループは80%程度は軽症で外来治療可能です。一方で急性喉頭蓋炎は急速に呼吸不全に至るとても危険な病気です。
急性喉頭蓋炎の原因の約80%がインフルエンザ桿菌です。Hibワクチン普及により現在は発症数は激減しています。

クループ症候群ってなに? 症状は?

クループ症候群は主にウイルス、細菌感染により、のど周囲にむくみや炎症を来し狭窄することで空気の通り道が悪くなり呼吸器症状を呈する病気をまとめて指します狭窄する病変部位が声門・声門下である ①クループ、喉頭蓋・声門上である ②急性喉頭蓋炎に大きく分けられます

①クループ
好発年齢は6カ月~3歳ころ乳幼児で、風邪などのウイルス(パラインフルエンザ、RSウイルス etc.)が感染することで声門~声門下の粘膜浮腫により症状を呈します。多くは夜間に吸気性喘鳴(息を吸うときにヒューヒュー)、犬吠様咳嗽(犬やオットセイが鳴くような咳、『バウバウ』『ケンケン』)、嗄声(声が枯れる)のような特徴的な症状を認めます。クループの約80%程度は軽症であり外来通院による治療が可能といわれます。一方で人工呼吸器を装着しなければいけない症例は3%未満程度あるといわれています。下記の図の症状の強さ、所見の有無によりクループの重症度を評価し、外来での治療が可能か、入院施設への紹介が必要か判断をいたします。

②急性喉頭蓋炎
急性喉頭蓋炎はインフルエンザ桿菌などの細菌感染により喉頭蓋・声門上部の粘膜浮腫により上気道閉塞してしまい急速に呼吸不全へ進行するとても危険な病気です。原因の約80%程度がインフルエンザ桿菌という細菌と言われており、Hibワクチンが普及している現在では有病率は大幅に減少しとても珍しい病気になりました。しかし命を落としかねない危険な病気のため注意が必要です。発症は年長~就学前ごろのお子さんや成人例が報告されております症状は発熱、吸気性喘鳴にくわえ、咽頭痛、嚥下困難(物を飲み込めない)、流涎(飲み込めないため唾液がたれる)、呼吸の苦しさから顎を前に突き出してにおいを嗅ぐような姿勢(sniffing position)を認めます。急性喉頭蓋炎は命に関わるとても危険な病気で症状から疑わしい場合は小児専門医療機関への紹介をいたします。

診断・治療はどうするの?

診断は年齢、特徴的な症状、経過から診断を行います。クループ症候群のお子さんは泣く事で症状悪化するためなるべく泣かせないように診察いたします

①クループ
症状や所見から重症度を評価します。のどのむくみを和らげる効果のあるボスミン吸入を行い、吸入による症状の消失の有無を評価します。ボスミン吸入の効果時間は1-2時間程度であり長続きしませんが、デカドロン(ステロイド)という薬は効果が24時間程度持続するため、再発の恐れのあるお子さんに処方いたします。ボスミン吸入を繰り返しても効果が不十分な場合や、上記のスコアで重症度が高いお子さんは入院可能な医療機関へ紹介いたします

②急性喉頭蓋炎
急性喉頭蓋炎はとても怖い病気です。症状から疑わしいと判断したら、泣くことで空気の通り道がさらに狭くなるため泣かせるような処置は行わず、気道を確保して小児専門医療機関へ急いで搬送いたします緊急を要する病気であり、挿管し人工呼吸器での呼吸管理や補液・適切な抗菌薬投与が必要になります

急性喉頭蓋炎の予防にはHibワクチンがとても効果的です
急性喉頭蓋炎とても怖い病気でありワクチン接種を心からオススメします。

その他

 どんな時に急いで受診したほうがいいの?
クループは夜間に症状悪化することが多い特徴があります。苦しそうな呼吸(陥没呼吸:胸部がベコベコするような呼吸)、反応が悪い、顔色・唇の色が悪い、呼びかけても反応が悪いなどの所見を認めた際は病院へ連絡・受診をしてください。

お困りの際はいつでもご受診ください。

ではまた!