子どもの病気コラム

感染症

とびひ(伝染性膿痂疹)について

こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。

今回はとびひ(伝染性膿痂疹)について勉強していきます!

虫刺され、あせも、アトピー性皮膚炎の湿疹を掻きむしった部位から細菌が侵入し、赤く腫れたり、水ぶくれなどの皮膚症状を認めます。
患部を介して他の部位に拡がったり、他児にうつすことがあります。
平均年齢は4-6歳、好発部位は鼻の孔周囲、四肢など露出部、発生は夏に多いとされます。
症状に合わせて軟膏や抗菌薬の内服で治療します。
優しく石鹸で洗い、シャワーでよく流すこと、患部をガーゼで覆って他人にうつさないことが重要です。
家族内でのタオルの共有やプールや水遊びは避けてください。

とびひ(伝染性膿痂疹)ってなに?

とびひは虫刺され、あせも、アトピー性皮膚炎の湿疹などを掻きむしった部位から細菌(黄色ブドウ球菌、A群連鎖球菌)が侵入し、菌が産生する毒素により赤くはれたり、水ぶくれや膿を持ったりします好発年齢は4-6歳で、時期としては夏に多いとされます。好発部位は鼻の孔周囲や四肢などの露出部位に多く、患部を介して他の部位に拡がる、他のお子さんにうつす恐れがあります。接触により火事の飛び火のようにあっと言う間に拡がることから『とびひ』と言われるようになりました。保育園や幼稚園での集団発生することがあり、他人にうつさないように治療することが重要です。アトピー性皮膚炎のお子さんは皮膚のバリア機能が低下しており、特に注意が必要です。

どんな症状が出るの?

鼻の孔周囲や四肢などの露出部位に多く、赤くはれたり、水ぶくれ、かさぶた、ジュクジュクするような膿をもった発疹を認めます。下記の写真のような発疹を認め、患部の接触によりその他の部位や他のお子さんに広がります。

診断・治療はどうするの?

発疹の性状から判断して治療を開始します。
発疹が局所のみでアトピー性皮膚炎の合併がない場合は患部にアクアチムクリームやフシジンレオ軟膏を塗布し、患部をガーゼで保護します。患部をガーゼで保護することで患部を早く乾燥させ、掻きむしりや他児への感染防ぐ事が出来ます。ガーゼは1日1回交換してください。また患部の消毒は必要ありません
発疹が広範囲、アトピー性皮膚炎の合併がある場合抗菌薬の内服を検討します。とびひの原因菌は黄色ブドウ球菌やA群溶連菌のため、それらの細菌に有効な抗菌薬の投与を行います。黄色ブドウ球菌が原因のとびひの20-30%がMRSAという抗菌薬の効きづらい菌が原因となっているといわれております。抗菌薬開始後も症状改善ない場合はMRSAを考慮し抗菌薬を変更いたします痒みが強い場合はステロイド軟膏や抗アレルギー薬の内服を行います

お風呂はシャワー浴にしてください。石鹸で患部を優しく洗い、シャワーでよく洗い流してください。家族でのタオルの共有やプール・水遊びは禁止した方がよいです

その他

保育園・幼稚園にはいってもいいですか?
患部が局所で長袖やガーゼで覆うことが出来る場合は登園可能です。逆に患部が広範囲で覆えない時は登園を控えた方が良いです。とびひに罹患中はプール、水遊び、外で汗をかくような遊びは控えてください。
予防方法はありますか?
アトピー性皮膚炎のお子さんはバリア機能が低下しているため、保湿しスキンケアに努めてください。痒みが強い場合は長袖を着て掻きむしりを防止したり、抗ヒスタミン薬など内服をしてください。その他は爪を短くしたり、鼻をいじらない、手洗いなども予防に有効とされます。
この疾患の注意点はありますか?
とびひと鑑別しなくてはいけない疾患にSSSS(ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群)という疾患があります。とびひ同様に黄色ブドウ球菌の毒素によって引き起こされる全身性中毒性疾患になります。高熱、口・眼周囲の赤み、目やに、口周囲に放射状の亀裂などの様々な症状を認めます。上記疾患が疑わしい場合は入院での加療が必要となるため専門医療機関への紹介をいたします。

お困りの際はいつでもご受診ください。

ではまた!