子どもの病気コラム
熱性痙攣にまつわる話 どうすればいい?ダイアップを使ったほうがいい?
熱性痙攣とは?
パパ、ママがびっくりされる症状の一つに痙攣発作があります。乳幼児で一番多いのが熱性痙攣です。
高熱が出た際に、突然白目を向いたり、全身が突っ張ったり、手足をガクンガクンと震わせるやつです。
熱性痙攣は通常38℃以上の発熱に伴って起き、生後6-60か月の乳幼児に起こるとされています。日本は諸外国に比べて発症率が少し高く、約10%前後です。保育園のクラスにも3-4人はいるイメージです。結構多いですね。
発熱時の痙攣の中から、脳の感染症やてんかんなど明らかな痙攣を引き起こす病気を除外したものと定義されています。
その為、短時間の痙攣発作では、脳障害や発達への影響は及ぼさないと考えられています。
熱性痙攣かその他の痙攣かの判断が大切なので特徴をしっかり把握することが必要です。
ポイントとしては、
検査が不要である「単純型熱性痙攣」と
入院なども含め経過観察が必要な「複雑型熱性痙攣」にわかれます。
「単純型熱性痙攣」の特徴としては
などの特徴があります。その為、痙攣が起きた時にはまず焦らずに、痙攣の持続時間、左右差の有無、様子などを観察する必要があります。
痙攣時はどうすればいいの?
では実際に痙攣が起きた場合にはどのように対応すればいいのでしょうか?
突然の症状にパパ、ママのほうがパニックになることが多いと思いますがこの記事を思い出して対応してください。
痙攣時に舌を噛まないように口腔内に物をつめたりするパパやママもいらっしゃいますが窒息するリスクもあるので控えてください。
1、まずおちつく。
2、お子さんを横向きに寝かす。(痙攣時に嘔吐をすることがあり、横向きに寝かすことで誤嚥を予防する為)
3、痙攣の持続時間、左右差の有無、様子などを観察する。
4、5分以内に収まり、目線が徐々に合って意識が回復、泣いたりするようなら落ち着いたところで医療機関を受診してください。
5、5分以上継続する場合、痙攣後も意識ははっきりしない、顔色が悪い場合、2回目の痙攣を起こす場合などは救急要請し、直ちに医療機関を受診してください。
上記の順番に考えながら、行動をしてもらえれば大丈夫です。
どれくらいの人が再発するの?
大体60-80%程度のお子さんは再発しないと考えられています。突発性発疹やインフルエンザに伴う熱性痙攣の場合、これらの感染症を引き起こすウイルスは痙攣を起こしやすいので、2回目以降が起こる確率は少し高くなると考えられます。
熱性痙攣の再発率を予測する因子は下記項目です。
1、パパやママのいずれかが熱性痙攣を起こしたことがある。
2、1歳未満で熱性痙攣を起こした
3、発熱から間もない時間での痙攣発作(1h以内)
4、発作時の体温が39度以下
上記項目に当てはまれば、当てはまるほど痙攣の再発のリスクが高まります。全項目とも満たさない場合には、約15%と考えられています。
痙攣予防のダイアップはいつ使うの?
熱性痙攣を繰り返すお子さんに関しては、痙攣予防のためにダイアップを使用する事があります。しかしながら、熱性痙攣を起こした全てのお子さんが予防する必要はありません。
もちろんダイアップに予防効果はあります。しかしこのお薬は、脳や神経に作用し痙攣を予防する薬なので、お酒に酔ったように、ふらふらしたり、寝てしまったりするといった副作用もあります。
痙攣を止める作用はほとんどないので、ご自身の判断で痙攣後に使用する事はやめてください。
痙攣のせいで意識が悪いのか、ダイアップのせいで意識が悪いのかが判断が難しく、適切な対応ができなくなる可能性があります
どのようなお子さんに予防内服をしていけばいいか以下に記載いたします。
ダイアップの予防投与が必要なお子さんは?
下記の2つに当てはまる場合
以下のリスク因子中2項目以上あてはまり、2回以上痙攣が起きた場合
【リスク因子】
ダイアップというお薬は、上記に示したような副作用を引き起こす事があります。
痙攣予防が必要なお子様たちを文面で示しましたが少し難しい内容かもしれません。しかし、不必要な薬を使う事で起こる副作用をなくすために予防の適応をしっかり覚えていただけると助かります。もしわからない迷うときはお気軽にクリニックで相談してください。
必要最小限の薬だけをお子さんに適切に使用することはお子さん達の健康を守ることにつながります。