子どもの病気コラム
マイコプラズマ感染症について
こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。
今回はマイコプラズマ感染症について勉強していきます!
マイコプラズマってなに?
マイコプラズマは好発年齢5-12歳と学童期にかかる呼吸器感染症の代表的な細菌です。潜伏期間は2-3週間程度とされ、飛沫感染により周囲に拡がります。
マイコプラズマは一般的には一年間どの季節にもみられる通年性の感染症です。かつては4年に1度オリンピックがある年に流行することから『オリンピック肺炎』と言われてきましたが、近年はこの傾向が崩れつつあり、1988年以降は大きな全国流行はありません。マイコプラズマは他の多くの細菌と異なり細胞壁を持たないという特徴があり、抗菌薬も限られたものしか効果を持ちません。
どんな症状があるの?
マイコプラズマは感染すると上気道炎(風邪)、肺炎、気管支炎などを引き起こします。多くは軽症のため風邪同様の症状で済みますが、感染者の3-5%程度は肺炎になると言われています。マイコプラズマ肺炎の症状として長引く発熱、しつこい咳、身体のだるさなどが挙げられます。典型例は発熱から始まり、次第に咳症状が強くなっていきます。
学童期のお子さんの長引く熱、しつこい乾いた咳が続く場合にマイコプラズマ肺炎の可能性があります。注意しなくてはいけない合併症としてギラン・バレー症候群(手足の痺れ)、スティーブジョンス・ジョンソン症候群(全身の発疹、眼の症状)が挙げられます。マイコプラズマ感染後に手足の痺れや全身の発疹・眼の症状を認めた際は注意が必要です。
検査や診断はどうするの?
検査として綿棒のようなもので喉をこすり行う迅速検査と、マイコプラズマに対する抗体(IgM)を血液検査で調べる方法があります。
迅速検査は結果が短時間で出るという反面、感度(感染者がを陽性とでる確率)が低いというデメリットがあります。血液検査での抗体検査は結果が出るまで時間がかかる事や、感染初期であるとIgMが低いことがあり診断に至らないことがあります。
そのため検査での早期診断は難しいため、必ずしも検査は必要ではなく、マイコプラズマ肺炎は年齢、症状、経過から検査せずに臨床的に診断し抗菌薬内服を開始することがあります。
治療はどうするの?
マイコプラズマ感染は抗菌薬を投与せずとも自然に治癒することが多く、抗菌薬投与は必須ではありません。しかしながら発熱や咳症状が強く、生活に支障をきたすような場合は抗菌薬内服が必要と思われます。
マイコプラズマという細菌は他の多くの細菌とは異なり細胞壁を持たないという特徴があります。そのため他とは異なる抗菌薬を使用します。マイコプラズマに有効な抗菌薬は数種類あり年齢なども考慮して選択させていただきます。近年マクロライド系の抗菌薬に対して耐性を持ったマイコプラズマが増えております。マクロライド系抗菌薬投与し数日で症状の改善が乏しい場合は抗菌薬を変更することがあります。
予防に関してはマイコプラズマは飛沫感染により拡がるためマスク着用などの咳エチケットを徹底してください。
その他:いつになったら集団生活にもどれるの?
出席停止基準はありませんが、解熱し咳症状がおさまり、お子さんの活気が戻っていれば出席可能と判断いたします。
普段からの手洗い、アルコール消毒、うがい、マスク着用などの予防を心がけていただければと思います。
お困りの際はいつでもご受診ください。
ではまた!