子どもの病気コラム
気になる体格の話 低身長/肥満症について
こんにちは。Sunnyキッズクリニック院長の若林です。
今回は低身長と肥満症について勉強していきます!
お子さんにはそれぞれの個性があるので、身長の伸びも様々。両親の身長から大体の予測の身長は判断できる。
自分のお子さんが小さいと思ったら成長曲線をつけてみよう。
低身長の中には、個性、遺伝のものと治療可能なものに分かれる。
肥満は標準体重と比較した肥満度で判断。お子さんの肥満は大人の肥満につながるので早めの介入が必要。
肥満には単純性肥満(生活環境が原因 )と症候性肥満(他の原因がある)があり、単純性肥満の場合は、食事、運動、生活習慣の改善を行う。
成長曲線ってなに?
成長曲線とはお子さんの成長具合を判断するのに有用な曲線です。横軸に年齢、縦軸が身長or体重となります。平均が0SDの線であり、-2.0SDから +2.0SDの間に約95%のお子さんが含まれ、±2SDを超える場合には異常と判断します。
お子さんの身長や体重など体格が気になる場合には、成長曲線に自分のお子さんの数値を記入し、成長曲線を書いてみることが必要です。いまはインターネットで検索すると気軽に見つかるので検索してみてください。
低身長の原因は?治療が必要なものって?
お子さんの身長の伸びが標準的な範囲( -2.0SD〜+2.0SD )を大きく外れていなければ。あまり問題ありません。しかし、平均身長との差が大きい場合や身長の伸びが悪くなってきている場合には病気が原因のこともありますので、早めに医療機関に相談することをお勧めします。-2.0SD以下の低身長のこどもは100人のうち2~3人くらいの割合になります。お子さんの身長が低い原因の多くは、パパやママも背が低いなどの遺伝や体質によるものです。しかし、なかには成長ホルモンなどの身長を伸ばすホルモンが出ていない場合や、まれですが、染色体や骨の病気によってお子さんの身長が伸びない場合もあります。また、小さく生まれて、その後の身長があまり伸びないお子さんもいます。これらの病気はそれほど多くはありませんが、早めに治療を受けることで身長が伸びます。身長の伸びに関わる要因は、遺伝や体質、各種のホルモン、栄養などの他にも睡眠や運動、心理状態(愛情やストレス)などの環境要因があります。また、身長はよく伸びる時期とそうでない時期があり、男の子では声変り、女の子では月経が始まるとその後の身長の伸びはわずかになります。お子さんの低身長が心配な場合は、早めのご相談をお勧めします。
肥満の原因は?単純性肥満/症候性肥満
お子さんの肥満は主に肥満度というものを使って評価します。肥満度は標準体重に対して実測体重が何%上回っているかを示すもので下記の式で計算されます。
肥満度=(実測体重-標準体重) / 標準体重×100 (%)
幼児では肥満度15%以上は太りぎみ、20%以上はやや太りすぎ、30%以上は太りすぎとされ、学童では肥満度20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満といいます。1歳未満の乳児に関しては、症候性肥満(2次性肥満)以外は、様子を見てよいとされています。
お子さんの肥満のほとんどは単純性肥満(原発性肥満)といって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているために起こります。食事・おやつ・ジュースなどの過剰摂取、食事内容のバランスの悪さ、さらに運動不足などによって起こるものがほとんどです。1970年代以降、食生活やライフスタイルの変化により子どもの肥満が急激に増えました。現在は、増加傾向は止まってきていますが、すでに1割を超える子どもが肥満となっています。
肥満の中には病気がかくれていて肥満を呈してくる(単純性に対して症候性肥満(2次性肥満)と呼びます)こともあります。その際は身長の伸びが悪くなるのが特徴です。単純性肥満(原発性肥満)の場合は身長もよく伸び体格が全体的に大きく見える特徴があります。症候性肥満の中には、脳腫瘍や頭部外傷など種々の原因で生じる視床下部性の肥満、クッシング症候群や甲状腺機能低下症など内分泌疾患に伴う肥満、染色体異常症やその他の遺伝性疾患に伴う肥満および副腎皮質ステロイド等の薬剤使用による医原性肥満などがあります。
肥満はどうしていけないの?
大人の肥満が様々な合併症を引き起こす様に、お子さんも、特に生活習慣病と呼ばれる2型糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因となり、これらは動脈硬化を促進し将来的に心筋梗塞や脳卒中を起こすリスクを高めます。これら生活習慣病は成人のみならずお子さんにおいても見られ、幼少期から動脈硬化は進行します。また脂肪肝や睡眠時無呼吸をおこすこともあります。肥満がある場合はこのような合併症を伴っていないかの検査が必要となります。現時点で合併症を伴っていなくとも膝・腰などに悪い影響を与えますし、肥満の状態を長く続けていることはよいことではありません。お子さんの肥満は大人の肥満のもとです。特に年長児の肥満ほど大人の肥満に移行しやすいことがわかっています。思春期の時期になってしまうと、身長が伸びて体格が形成されてしまう事や肥満を引き起こす生活習慣が定着してしまう事から肥満が定着しもとに戻すことが大変難しくなります。小児期でも肥満治療は重要であり、できるだけ早いうちに始めることは重要です。
小児のメタボリックシンドロームの診断基準も定められています。
① 腹囲80cm以上
② 中性脂肪120mg/dL以上 and/or HDLコレステロール40mg/dL未満
③ 収縮期血圧125mmHg以上 and/or 拡張期血圧70mmHg以上
④ 空腹時血糖 100mg/dL以上
治療はどうするの?
症候性肥満の場合にはもともとの病気の治療を行うことが重要です。
単純型肥満の場合は食事や運動や生活習慣の改善です。家族ぐるみで取り組んで、お子さんを褒めてやる気を出させることが大事です。最初は食事量を極端に減らす様なことはせず、おかわりなどをやめて、標準の量に戻すこと、食事の時間をなるべく1日の中で揃えることも重要です。食事量を変えない分最初は運動を取り入れるといいでしょう。毎日できる、長続きできることからはじめてみましょう。お子さんは周りの家族も一緒にやることや、興味を持ってもらうとやる気になることがあります。大変だと思いますが、クリニックも協力するので、みんなで協力しながら目標を達成していきましょう。
最後に
クリニックを受診するか迷った際には、母子手帳もしくは添付されている肥満度判定曲線や成長曲線を使ってみましょう。身長に比べ、明らかに体重が多い、もしくは体重増加傾向が続いているときには一度医療機関を受診しましょう。お子さんの肥満はできるだけ早い時期に介入したほうが改善させやすいということがわかっています。
お困りの際はいつでもご受診ください。
ではまた!