子どもの病気コラム

感染症

百日咳について

こんにちは、Sunnyキッズクリニックです。

今回は「百日咳(ひゃくにちぜき)」についてご紹介します。強く長引く咳が特徴の感染症で、特に乳児では重症化のリスクもあります。早期の気づきと予防が大切ですので、ぜひ最後までご覧ください。


1. 百日咳とは?

百日咳は「百日咳菌」という細菌による呼吸器の感染症です。特徴的な咳が長く続き、回復までに2~3か月かかることもあります。

全年齢にかかる可能性がありますが、特に乳幼児が中心で、乳児では肺炎や脳症などの合併症を引き起こすリスクが高く注意が必要です。


2. 百日咳の症状

百日咳は、症状の進行に応じて以下の3つの時期に分けられます。

● 潜伏期

感染してから症状が出るまでの期間は5~10日(最大3週間)程度とされています。

● カタル期(約2週間)

  • 微熱や鼻水など、かぜに似た症状から始まります。
  • 熱が出ないことも多く、通常の風邪との見分けが難しい時期です。

● 痙咳期(約2~3週間)

  • 咳が徐々に激しくなり、百日咳特有の「連続した激しい咳」が現れます。
  • 咳き込んで嘔吐したり、ヒューという吸気音を伴ったりすることがあります。
  • 重症例では、目の周りのむくみや点状出血、乳児では無呼吸が起こることもあります。

● 回復期(約2~3週間)

  • 咳の回数が徐々に減少します。
  • ただし、全体の経過は2~3か月に及ぶことが一般的です。

3. 百日咳の診断方法

百日咳は以下の検査で診断されます。

  • LAMP法:のどの粘膜から採取した検体を用いた遺伝子検査。
  • 血液検査:白血球のうちリンパ球の増加が見られる場合があります。
  • 抗体検査:LAMP法で陰性の場合は、抗体の有無を調べる血液検査を行います。

4. 百日咳の治療方法

  • 初期(カタル期):マクロライド系抗菌薬(例:クラリスロマイシンなど)が有効です。
  • 痙咳期:すでに毒素が症状の主原因であるため、抗菌薬の効果は限定的。ただし周囲への感染を防ぐ目的で使用します。
  • 乳児では一部の抗菌薬(例:エリスロマイシン)を避ける必要があります。
  • 咳をやわらげる対症療法(咳止めなど)も併用されます。

5. 予防と対策

最も有効な予防法は予防接種です。

  • 定期接種:5種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)として生後2か月から接種開始
  • 就学前(5~6歳)、11~12歳:免疫の低下に対応するため、3種混合ワクチンの任意接種がおすすめです。

予防接種は感染の予防と重症化の回避に非常に重要です。特に乳児を守るためには、周囲の大人の接種も大切です。


6. 学校や保育園の出席停止期間

百日咳は、学校保健安全法において「第二種感染症」に分類されています。

登園・登校の再開は以下のいずれかを満たした場合です。

  • 特有の咳が消失した場合
  • 適切な抗生物質による治療を開始してから5日間が経過した場合

再登園・再登校のタイミングは、かかりつけ医の判断を仰ぐようにしましょう。


まとめ

百日咳は誰でもかかる可能性のある感染症ですが、乳幼児では特に注意が必要です。長引く咳や咳き込みによる嘔吐が続く場合は、早めの受診をおすすめします。

予防接種で守れる命があります。スケジュールに沿った接種、任意接種の検討も含め、わからないことがあればいつでもSunnyキッズクリニックにご相談ください。


 

気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。